研究課題/領域番号 |
19K22581
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
廣井 朋子 聖マリアンナ医科大学, 医学研究科, 講師 (20238398)
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研究分担者 |
那和 雪乃 聖マリアンナ医科大学, 医学研究科, 助教 (10549786)
大滝 正訓 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (20612683)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | TPH2 / エクソン・スキップ |
研究実績の概要 |
ヒト中枢型トリプトファン水酸化酵素(TPH2)について、ESE Finder 3.0を用いてエクソン内スプライシング促進配列(ESE)を検索し、エクソン2をスキップする効果がある可能性のある配列8カ所(以下、ESE1~ESE8)を選定した。候補配列は、両端の5塩基を架橋核酸2',4'-BNA(LNA)とし、中央部の8塩基をRNAとした18塩基のアンチセンスキメラオリゴとして合成した。 TPH2について[エクソン1ーイントロン1の5'端と3'端の608塩基ー中央部にストップコドンとなる塩基置換を導入したエクソン2ーイントロン2の5'端と3'端の651塩基ーエクソン3の3'端の1塩基を削ったもの]から成るミニジーンを構築し、下流にルシフェラーゼ遺伝子を接続した。これをpCMV-scriptに挿入し、PC12細胞にESE1~ESE8のLNA-RNAキメラオリゴと共にトランスフェクションして発現させ、ルシフェラーゼアッセイにて発光を測定した。同時に、PC12細胞よりRNAを抽出し、RT-PCRによって発現しているTPH2 mRNAの長さを測定した。 ミニジーンでは、LNA-RNAキメラオリゴを添加しないものでもエクソン2をスキップしたものが産生されてしまったため、エクソン2にストップコドンを導入したことの効果はみられず、ルシフェラーゼアッセイの結果はいずれも顕著な差がないものとなってしまった。一方、RT-PCRにより検出された転写産物の長さからは、ESE2およびESE4にエクソン2スキップ活性があることが示唆された。 内在性にTPH2を発現しているSHP-77細胞に、ESE2またはESE4のLNA-RNAキメラオリゴのみをトランスフェクションし、RT-PCRにより転写産物の長さを測定した。SHP-77細胞の場合は、ESE2よりもESE4に、より顕著なエクソン・スキップ活性があった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度に研究活動に従事できた期間が短かったことの挽回のため、本研究に費やすエフォートをとても多くして専念したが、新型コロナ感染症対策によるやむを得ないリモートワーク期間もあり、予定された実験行程を消化することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
当初の目的のとおり、TPH2エクソン2をスキップさせる活性があるESEアンチセンスオリゴヌクレオチドの配列を見いだすことはできたが、イントロンを含むミニジーンでは何も添加しなくてもエクソン2をスキップした転写産物がわずかな量ながらできてしまったため、エクソン2すなわち自己翻訳抑制ドメインの一部をスキップさせたことによる翻訳促進効果については確認できていない。 そのため、一旦LNA-RNAキメラオリゴによるエクソン・スキップから離れ、すでに構築したpCMV-scriptとルシフェラーゼを含むミニジーンから、イントロンを人為的に取り除いたクローンを作成することにした。具体的には、エクソン1のみ・エクソン3のみ・エクソン1と3・エクソン1,2,3・などを作成し、エクソン1,2,3それぞれの塩基配列やアミノ酸配列が、翻訳活性に対して及ぼす影響をルシフェラーゼアッセイにより測定する。また、エクソン2内を前半の自己翻訳抑制ドメイン部分(E2R)と、後半のACTドメイン部分(E2A)に分け、それぞれの配列の影響も個別に調べる。「エクソン2のE2A部分とエクソン3のみ」という構造は、自己翻訳抑制ドメインがないとされている末梢型トリプトファン水酸化酵素TPH1の構造と、ほぼ同じとなる。ほぼ同じではあるが、エクソンーイントロンの構成や塩基配列についてはTPH1とTPH2で異なるため、TPH1についても、一部のエクソンのみをルシフェラーゼを含むpCMV-scriptに挿入して、翻訳活性を確認する。 それぞれのドメインについて、翻訳活性に対する何らかの効果が見られた場合は、シミュレーションによりその立体構造を予測し、作用機序を考察する。さらに、エクソン2のスキップ以外にも、何らかの翻訳抑制の解除または翻訳促進のための方策がないか、考察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
「7.現在までの進捗状況」に記載した通り、令和2年度は新型コロナウイルス感染症対策のため、実質的に研究活動に従事できない期間が多かったため。 令和3年度も引き続き、エクソンのみを挿入したクローンを作成するためのプライマー合成代のために、また制限酵素や核酸抽出キット等の消耗品の購入のために使用する。
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