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2022 年度 実施状況報告書

海馬新CA2領域における興奮性神経細胞の多様性解明と集団性探索

研究課題

研究課題/領域番号 19K22583
研究機関関西医科大学

研究代表者

小原 圭吾  関西医科大学, 医学部, 講師 (60740917)

研究期間 (年度) 2019-06-28 – 2024-03-31
キーワード海馬 / CA2 / 多様性 / 集団性 / 神経細胞 / 軸索
研究実績の概要

海馬新CA2は、海馬において最も近年になり出現した領域である(Kohara et al. Nat. Neurosci 2014)。本研究の第一の目的は、海馬新CA2領域においてin vivo神経活動イメージングにより興奮性神経細胞の発火特性における多様性解析を行い、その後、機能実験データと解剖学実験データ、形態実験データを総合的にあわせて、「新CA2領域内の新たな細胞」を同定、定義することである。第二の目的は、海馬新CA2領域において、機能面と解剖学的面から集団性を探索して、これまでに明らかにされていなかった「CA2領域内の新たな細胞集団」を見出すことである。
コロナウイルスの蔓延等の影響により、第一の目的に用いる微小内視蛍光顕微鏡イメージングの実験担当者が研究実施することが困難になった事情があったことから、その状況に柔軟に対処し、第二の目的に焦点を絞って重点的に推進し発展させた。反発分離性遺伝子導入技術「BATTLE」を用いて、新CA2領域における多様性、集団性の兆候の探索的な解析を行なった。また、新CA2領域の神経細胞に強く発現するペリニューロナルネット(糖鎖とタンパク質の複合体からなる細胞外マトリックス)に関しても、多様性、集団性の兆候の探索的な解析を行なった。さらに、前年度に引き続き、新CA2領域特異的Creノックインマウス、Cre依存的AAVを用いることによって、CA2からCA2への神経回路の特徴的で非均一的な投射(未発表)における多様性、集団性の解析を行ない予備的な実験データが得られた。
さらに新CA2領域の多様性、集団性を解明するための新技術の開発を行い、「BATTLE」技術を発展させた遺伝子組換えマウスの開発を継続させた。この新技術が開発された後には、海馬新CA2領域の多様性の解明が大きく進展することが期待される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の第一の目的は、新CA2領域においてin vivo神経活動イメージングにより興奮性神経細胞の発火特性における多様性解析を行い、その後、機能実験データと解剖学実験データ、形態実験データを総合的にあわせて、「新CA2領域内の新たな細胞」を同定、定義することである。第二の目的は、新CA2領域において、機能面と解剖学的面から集団性を探索して、これまでに明らかにされていなかった「CA2領域内の新たな細胞集団」を見出すことである。
令和4年度においては、反発分離性遺伝子導入技術「BATTLE」を用いて、海馬新CA2領域における多様性、集団性の兆候の探索的な解析が行われた。また、海馬新CA2領域の神経細胞に強く発現し、その細胞外領域に存在するペリニューロナルネット(糖鎖とタンパク質の複合体からなる細胞外マトリックス)に注目して、海馬新CA2領域における多様性、集団性の兆候の探索的な解析が行われた。さらに、前年度に引き続き、海馬新CA2領域特異的Creノックインマウス(MAP3K15-Cre)、Cre依存的AAVを用いることによって、CA2からCA2への神経回路の特徴的で非均一的な投射パターン(未発表)における多様性、集団性の解析が行われ、予備的な実験データが得られた。またCA2の新定義やCA2とCA3の投射パターンの違いを総合的に解説したレビュー論文(Shinohara,Y and Kohara,K, Hippocampus 2023)が出版された。
さらに海馬新CA2領域の多様性、集団性を解明するための新技術の開発を行い、「BATTLE」技術を活用しさらに発展させた遺伝子組み換えマウスの作製を行ない、その開発を継続させた。この新技術が開発された後には、海馬新CA2領域の多様性の解明が大きく進展することが期待される。これらのことから、総合的に見て、おおむね順調に進展しているといえる。

今後の研究の推進方策

本研究課題において、予想外に捉えられたCA2からCA2への神経回路の特徴的で非均一的な投射(未発表)について引き続き解析を行う予定である。また海馬新CA2領域に特徴的に強く発現するペリニューロナルネットについても引き続き解析を行う予定である。これらの解析によって、これまで明らかになっていないCA2の多様性、集団性について探索を継続していく予定である。さらに、「BATTLE」技術や「BATTLE」技術を活用した新たな遺伝子組み換えマウス等を総合的に海馬新CA2神経細胞に適用することによって、既存技術の技術的障壁を乗り越えて、海馬新CA2領域の多様性と集団性の解明を行なっていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

コロナウイルスの蔓延等により影響を受けたため。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Projections of hippocampal CA2 pyramidal neurons: Distinct innervation patterns of CA2 compared to CA3 in rodents2023

    • 著者名/発表者名
      Yoshiaki Shinohara, Keigo Kohara
    • 雑誌名

      Hippocampus

      巻: Feb 28 ページ: e1-e9

    • DOI

      10.1002/hipo.23519

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Single-Cell Labeling Strategies to Dissect Neuronal Structures and Local Functions2023

    • 著者名/発表者名
      Kohara Keigo、Okada Masayoshi
    • 雑誌名

      Biology

      巻: 12 ページ: 321~321

    • DOI

      10.3390/biology12020321

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [備考]

    • URL

      keigokohara.com

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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