脳温度が情報処理にどのような役割を果たしているのかは、未知の問題であった。本研究課題では、脳温度が神経活動に与える影響を解明するため、大脳皮質の局所温度を制御し、大脳皮質で生じる誘発電位がどのような影響を受けるか、その影響がどのような仕組みで生じているのか、検討を行った。その結果、大脳皮質の局所温度を制御し誘発電位を計測すると、脳温度と誘発電位の大きさは負の相関関係を示したが、GABA受容体アンタゴニスト投与により負の相関関係が打ち消され正の相関を示した。これらの結果から、脳局所温度の変化が誘発電位に対する、興奮・抑制性入力の貢献度のバランスを変化させている可能性が示唆された。
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