研究課題
我々は、致死性家族性不眠症(fatal familial insomnia)の症例の中で、視床と下オリーブ核変性が全く認められず大脳皮質の海綿状脳症のみを呈する非典型例と大脳の海綿状脳症がなく視床・下オリーブ核の変性を認める典型症例が同一家系の中で存在することを報告し、その後感染実験にて全く異なる感染性を示すことを証明した。具体的には、非典型例は、バンクボールPrPを導入したノックインマウスでのみ感染が成立し、典型例はヒトとマウスのキメラ型PrPを導入したノックインマウスにのみ感染が成立したのである。この感染性の違いは、孤発性CJDである視床型CJDでも認められ、海綿状脳症を認めない症例は、キメラ型PrPのみに感染し、視床型と海綿状脳症を示す症例はキメラ型PrPとバンクボールPrPを有するノックインマウスの両方に感染が成立した。このように、海綿状脳症を示すプリオン(感染因子)と視床型の典型例のプリオンは明らかに異なる感染性を示すことから新しい分類法として海綿状脳症を示すプリオンをM2C(sv)命名し、遺伝子型がコドン129Metであり、タイプ2の皮質型でしかも海綿状脳症としてsmall vacuoleを持つプリオンとして命名し、典型的な視床型のプリオンは従来通りM2Tプリオンとする分類方法を提唱した。さらに、感染実験を行わなくても区別可能なように、M2Tプリオンのみ試験管内で増幅する方法を確立した。さらに、その後イタリアとの共同研究によって、世界で初めて報告されたFFI家系においても、我々が見出した非典型例が存在することを確認している。現在は、従来から報告されているタイプ2の皮質型の大きなvacuoleをもつ症例、我々はM2C(lv)プリオンと命名しているがこの(lv)と(sv)のプリオンの感染性に違いがあるのかどうか検討を続けている。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (15件) (うち国際共著 2件、 査読あり 15件、 オープンアクセス 3件)
European Journal of Neurology
巻: - ページ: -
10.1111/ene.14720
Prion
巻: 15 ページ: 12~20
10.1080/19336896.2020.1868931
Neuropathology
10.1111/neup.12722
Journal of the Neurological Sciences
巻: 409 ページ: 116605~116605
10.1016/j.jns.2019.116605
Journal of General Virology
巻: 101 ページ: 136~142
10.1099/jgv.0.001335
巻: 418 ページ: 117094~117094
10.1016/j.jns.2020.117094
American Journal of Gastroenterology
巻: Publish Ahead of Print ページ: -
10.14309/ajg.0000000000001044
巻: 14 ページ: 109~117
10.1080/19336896.2020.1739603
Emerging Infectious Diseases
巻: 26 ページ: 1140~1146
10.3201/eid2606.181969
巻: 408 ページ: 116515~116515
10.1016/j.jns.2019.116515
巻: 14 ページ: 226~231
10.1080/19336896.2020.1823179
巻: 412 ページ: 116759~116759
10.1016/j.jns.2020.116759
Journal of Biological Chemistry
巻: 295 ページ: 7789~7798
10.1074/jbc.RA120.013444
Scientific Reports
巻: 10 ページ: 1503
10.1038/s41598-020-58446-0
巻: 40 ページ: 399~406
10.1111/neup.12658