ホルマリン固定パラフィン包埋 (FFPE)切片は、多くの医療機関で病理標本として保存されており、汎用性の高い臨床検体であるが、ホルマリン架橋に伴う大きな技術的障壁によって病態分子機構の解明研究にほとんど利用されていない。本研究では、Pressure Cycling Technology、高温、強力な可溶化剤、高精度な定量プロテオミクス「Advanced SWATH法」を組み合わせることによって、病態組織におけるタンパク質群の発現量変動を高精度かつ網羅的に定量できる方法をはじめて開発した。病態分子機構プロファイルに基づいて最適な薬剤を選択できることも実証し、臨床診断を行う上での基盤を構築した。
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