研究課題/領域番号 |
19K22604
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
川原 玄理 東京医科大学, 医学部, 准教授 (40743331)
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研究分担者 |
林 由起子 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (50238135)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | 筋ジストロフィー / Jagged1 / ゼブラフィッシュ / ドラッグスクリーニング |
研究実績の概要 |
2020年度は、ゼブラフィッシュjagged1の発現をコントロールする薬剤を同定することを主な目的にした。前年度にトランスジェニック(Tg)フィッシュの作製(ゼブラフィッシュjagged1プロモーター領域のゲノムDNAのクローニング、jagged1Tgフィッシュの作製)を行い得られたjag1-Tgゼブラフィッシュは、主に脳、脊髄においてEGFPシグナルが強く観察された。これらの個体では、EGFPシグナルにより間接的にjagged1の発現が観察されることを確認したため、このjag1-Tgゼブラフィッシュを用いてjagged1の発現をコントロールする薬剤を同定するため薬剤スクリーニングを行った。薬剤ライブラリー、LOPAC1280 (Sigma社)に含まれる1,280個の薬剤について、jag1-Tgゼブラフィッシュを24時間薬剤処理し、EGFPのシグナルを検出した。その発現が亢進する作用を示す薬剤をスクリーニングした結果、合計8個のEGFPの発現を亢進させる薬剤が得られた。これらの薬剤はjagged1の発現を亢進していることが定量的PCRでの解析によっても確かめられた。今後これらの薬剤について筋ジストロフィーのモデルフィッシュへの効果を検証していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ゼブラフィッシュjagged1 翻訳開始コドンの上流領域、約500塩基対がjagged1プロモーター領域として、EGFPをコードする遺伝子配列の上流に組み込んだベクターを導入した個体を得ており、これらの変異体を第一世代(F0)として、 次世代を作製し、脳、脊髄でEGFPの発現が強く観察されるトランスジェニックフィッシュが得られた。得られたjagged1トランスジェニックフィッシュの解析を行い、それらを用いた薬剤スクリーニングを行なった。1,280個の薬剤ライブラリーの中から8個の候補薬剤が得られており、その薬剤の効果について現在解析中である。スクリーニングについては現在のところ計画通り達成されているが、その効果の検証にまでは至っておらず、少し遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、昨年度、jagged1トランスジェニックフィッシュを用いたjagged1の発現制御物質のスクリーニングにより得られた候補薬剤について研究を進める。1,280個の薬剤のスクリーニングから得られたjagged1の発現に影響を与える薬剤を解析することにより、jagged1との関連を明らかにしjagged1遺伝子の発現に関連した筋ジストロフィーの治療法開発に役立つ分子の新規発見をめざす。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は、新型コロナウイルスの蔓延により、研究室での活動が一部行えなかったことと、国際学会への参加が無かったことが、2021年度に延長をし使用額を生じた理由である。使用計画としては、国外で行われる国際学会への参加(参加登録費、旅費等)、本プロジェクトに使用する試薬、抗体の購入、作製を予定している。
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