• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2019 年度 実施状況報告書

人工miRNA搭載AAVを用いたCMT1Aの革新的遺伝子治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 19K22606
研究機関国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター

研究代表者

井上 健  国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 疾病研究第二部, 室長 (30392418)

研究期間 (年度) 2019-06-28 – 2021-03-31
キーワードゲノム重複変異 / Charcot-Marie-Tooth病1A型 / PMP22 / 人工miRNA / アデノ随伴ウィルス(AAV) / 遺伝子発現抑制 / 遺伝子治療法
研究実績の概要

もっとも頻度が高い遺伝性ニューロパチーシャルコー・マリー・トゥース病1A型(CMT1A)の遺伝子治療を可能にするためにシュワン細胞特異的にPMP22遺伝子の発現抑制ができる人工miRNAを搭載したアデノ随伴ウィルス(AAV)を開発し、その有効性を実証する。本研究の目的を達成するためには、これまで困難であった複数の課題の解決が必要である。すなわちAAVによるシュワン細胞への特異的かつ高効率の遺伝子導入、細胞特異的発現が可能なRNAiユニットの開発、適切な遺伝子抑制レベルのコントロールなど、これまでの遺伝子治療の枠を超えた技術を組み合わせた方法を用いる必要がある。そこで本申請では、改変ヒトMPZプロモーターを開発し、PMP22特異的発現抑制を可能にする人工miRNAユニットと組み合わせたこれまでにないシュワン細胞特異的PMP22標的人工miRNA搭載AAVベクターを開発し、これらの課題を解決する。
本年度は、シュワン細胞特異的高効率発現プロモーターの設計を行った。PMP22は、シュワン細胞の成熟と髄鞘化開始に伴って発現が上昇する髄鞘膜蛋白質をコードするため、その発現パターンに合わせたプロモーターの使用が必要である。そこで我々は、成熟シュワン細胞での特異的発現が知られているラットMPZ遺伝子プロモーターの配列情報をもとに種間の塩基配列保存度の高いプロモーター領域をヒトMPZ遺伝子から抽出し、さらにイントロン1にある特異的エンハンサー配列をその5’端に結合することにより、改変ヒトMPZプロモーターを構築し、シュワン細胞特異的高効率発現プロモーターカセットを作成した。不死化シュワン細胞株IMS32あるいはIFRS1を用いたルシフェラーゼ・レポーターアッセイにより最も転写活性が高い配列を選択した。今後、これを用いたAAVベクターの構築を行う。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

技術的に最も困難である適切なプロモータの構築が順調に進んでいるが、一方でCMT1Aモデルマウスの入手とコロニーの構築が計画より遅れているため。

今後の研究の推進方策

本年度、シュワン細胞特異的に高効率に遺伝子発現を可能にするプロモーターの構築が進んでおり、近日中にこれが完成する見込みである。今後はこれを用いたPMP22を特異的に発現抑制できる人工miRNAの配列をいくつかの候補配列の中から選択し、これを組み込んだAAVベクターを構築する予定である。この配列を選択する際に、ヒト遺伝子とマウス遺伝子との間の完全相同配列を選ぶことで、野生型マウスへの投与実験による遺伝子発現抑制効果の検証が可能になる。これらの検証を実施しつつ、PMP22トランスジェニックマウスへの治療実験の準備を進めていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

本年度、導入しコロニー構築予定であったCMT1Aモデルマウスの入手の手配が計画通りに進まなかったため、このための次年度への繰越となった。令和2年度は、このマウスの導入とコロニーの拡大を進める計画であり、次年度使用額はこのための費用として用いる計画である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Gene suppressing therapy for Pelizaeus-Merzbacher disease using artificial microRNA2019

    • 著者名/発表者名
      Li Heng、Okada Hironori、Suzuki Sadafumi、Sakai Kazuhisa、Izumi Hitomi、Matsushima Yukiko、Ichinohe Noritaka、Goto Yu-ichi、Okada Takashi、Inoue Ken
    • 雑誌名

      JCI Insight

      巻: 4 ページ: e125052

    • DOI

      doi: 10.1172/jci.insight.125052

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Gene suppressing therapy for Pelizaeus-Merzbacher disease using artificial miRNA.2019

    • 著者名/発表者名
      Inoue K, Li H, Okada H, Suzuki S, Sakai K, Ichinohe N, Goto Y, Okada T.
    • 学会等名
      第64回人類遺伝学会
  • [学会発表] Pelizaeus-Merzbacher病におけるPLP1遺伝子重複を標的としたAAVによるartificial miRNA遺伝子治療2019

    • 著者名/発表者名
      118.李コウ, 岡田浩典, 鈴木禎史, 境和久, 泉仁美, 松島由紀子,一戸紀孝, 岡田尚巳, 後藤雄一, 井上 健
    • 学会等名
      NEURO2019
  • [学会発表] PLP1 gene suppression therapy for Pelizaeus-Merzbacher disease using artificial miRNA2019

    • 著者名/発表者名
      Inoue K, Li H, Okada H, Suzuki S, Sakai K, Ichinohe N, Goto Y, Okada T.
    • 学会等名
      The American Society of Human Genetics Annual Meeting 2019
    • 国際学会
  • [学会発表] Pelizaeus-Merzbacher病に対する遺伝子治療2019

    • 著者名/発表者名
      井上 健
    • 学会等名
      第61回日本小児神経学会
    • 招待講演
  • [学会発表] Developing molecular therapies for childhood white matter diseases: Pelizaeus-Merzbacher disease2019

    • 著者名/発表者名
      Inoue K
    • 学会等名
      15th Asian Oceanian Congress of Child Neurology
    • 国際学会 / 招待講演

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi