研究課題/領域番号 |
19K22609
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
高橋 淳子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (80415702)
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研究分担者 |
岩橋 均 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (60356540)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | 放射線増感 / 放射線応答 / 有機化合物 / プロトポルフィリン / 活性酸素 / スーパーオキシド / OHラジカル |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、放射線吸収の小さい有機化合物の放射線との物理化学的応答を利用して、生体適合性の高い放射線増感剤について検証を進め、放射線治療応用の可能性を追求することである。 これまで、構造多様性等を考慮して選抜された約1万種類の低分子有機化合物ライブラリーを用いて、数μMという低濃度の有機化合物を含む水溶液に数Gyの放射線を照射するという条件下で、活性酸素性性能を指標としてスクリーニングを行った。その結果、約2%の化合物が放射線との物理化学作用により、活性酸素生成能を有すること、また物理化学的応答にはある程度の化学構造との構造活性相関があることが見出された。 2020年は、既存の放射線増感候補となる有機化合物に加え、新たに数種類の有機化合物に対して、活性酸素生成増強能の評価試験を行った。その結果、新たに放射線応答性を有する有機化合物が見つかった。 また、これまでKeV、MeVオーダーのビームエネルギーについての有機化合物と放射線の応答性について検討していたが、さらに低いビームエネルギーにおける応答性について検討を行った。その結果、これまでの条件より低い数10eVのビームエネルギー条件においても、放射線応答有機化合物は活性酸素生成増強能を有することが確認された。放射線治療に用いられている放射線装置のビームエネルギーは装置によって異なり、実際に数十から数MeVの範囲が使用されている。今回の検討により、放射線力学療法は実際に使用されている様々な条件で用いられる可能性があることが検証された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
X線エネルギー範囲に関する検討が進展し、かつ、新たな放射線増感がが見出されたから。
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今後の研究の推進方策 |
代表的ヒット化合物の応答性評価を進めるとともに、有機化合物応答性の基礎的検討(応答メカニズム、物理エネルギー範囲等)を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費、論文別刷り等は交付金で賄うことができた。またコロナの影響で、学会発表等の旅費が不要となった。 研究代表者が2021年4月に組織を異動したため、研究環境整備などの費用として使用する。
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