研究実績の概要 |
既報に従って、ヒトiPS細胞からマクロファージを誘導した。約2週間の培養後、FACSでCD45+CD14+のマクロファージが出現したことを確認した。CD14+の細胞をMACSで集め、これらは凍結保存可能であった。マクロファージの機能と分化能を調べるために、血清でコートしたディッシュにCD14+細胞を播種した。MCSF添加培地で4日間培養した後 (M0)、LPSとIFNg(M1誘導)もしくはIL4(M2誘導)を添加して培養した。M0 およびM2の細胞は、M1と比較してAcLDL取り込み能が高いことが明らかとなった。また、M1刺激ではM1マーカーであるCD80の誘導を確認できた。リアルタイムPCRによる解析ではM1刺激でのIl1bおよびTnfaの発現誘導、M2刺激ではPDGFbの発現上昇が認められた。以上のことから、誘導シグナルによってM1あるいはM2に分化するマクロファージ (iPS-MF) を得ることができた。 マウス肝前駆細胞と胆管上皮細胞から構成される肝オルガノイド(HBTO)と、iPS-Luc-HSC(活性化をルシフェラーゼ値によって評価可能な星細胞)もしくはiPS-Luc-HSC, iPS-MFの共培養を行った。共培養開始後2週間経過したところでLPSを添加した。2日後にルシフェラーゼアッセイを行ったところ、いずれの条件でもわずかにルシフェラーゼの値が上昇していたが、iPS-MFとの共培養でのみ、LPS刺激による有意なルシフェラーゼ値の上昇が確認できた。
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