研究課題/領域番号 |
19K22615
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
藤生 克仁 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (30422306)
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研究分担者 |
小島 敏弥 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (30625588)
荷見 映理子 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (70599547)
中山 幸輝 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (70721885)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | マクロファージ / 心不全 / 不整脈 |
研究実績の概要 |
心不全、心臓突然死の疾患研究は心筋細胞を中心に行われてきたが、我々は心臓マクロファージが心臓に対して保護的に働いていることを明らかにした。本研究では、さらに心臓マクロファージを含みミエロイド系細胞が心臓病発症にどのようにかかわっているかを、1細胞遺伝子発現解析、1細胞エピゲノム解析等を用いて解析し、新しい治療標的を同定する。具体的には、心臓を保護する新規細胞の同定、その細胞が分泌するタンパクの同定、さらに疾患研究として、その新保護的細胞がどのように機能低下に陥るかについて検討している。 これまでに、心臓マクロファージの活性化および分化に重要な因子の同定及び、その下流遺伝子を複数同定した。マクロファージの活性化によって、これらの下流遺伝子であり、心筋細胞に対するエフェクターである分子がどのように発現調節されるかを詳細に解析した。また、これらの下流遺伝子は、心不全や不整脈をそれぞれ防いでいる働きがあるこを同定し、論文発表およびプレスリリースを行った。 さらに、ヒト心不全のサンプルの遺伝子発現解析を行うと、前述のシステムがマウスで観察された結果に矛盾しない変化をしていることを確認した。以上から、我々の発見した心臓マクロファージを起点とする心不全、不整脈発生機序がヒトでも働いている可能性があり、今後治療標的となる可能性が予想される。 また、機械学習を用いて、新しい細胞形態や細胞の反応性の変化に基づく細胞解析装置の開発も進め、新しい診断、治療装置の開発も並行して目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は論文発表を行い。もう一つの論文のリバイズ中である。一方で、新型コロナウィルスによる本学のロックダウンを経験し、本研究計画で重要である動物モデルの実験については、一時不可能となった。そのため、一部の計画を令和3年度に変更し、研究費の延長申請を行った。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、これまでに得られた結果を論文として投稿し、要求された内容に対して、リバイズ実験を行い、論文の受理をねらう。さらに、すでに検討を始めてい るヒト心不全サンプルを用いた解析から、ヒトでの診断や治療標的になり得るかについて、マウス、ヒトのサンプル等を用いて検討を行う。 さらに、新しい診断法として開発中の細胞形態評価装置についても、開発を勧め、心臓マクロファージに着目した全く新しい診断法、治療法の可能性についても 並行して検討を行い、その結果は、まず知財を確保した上で、論文投稿を目指す。 また、今年度、新型コロナウィルスによって、再度ロックダウンなどが起こった際に対しての対策として、現在使用しているマウスをいつでも閉鎖し、しかるべき時期に再開ができるように、凍結胚の作製を平行して進める。特に、早期の再開を考慮する上で、ノックアウトマウスであれば、ホモ接合体xホモ接合体での凍結胚作製が望まれる。本年度は、この作業を行う。また、研究員の感染症に対する対策も十分に行う。すでにワクチン接種を完了しているが、そうだとして、クラスター等の発生は完全に否定できない。そのため、研究室内での感染対策を引き続き行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度新型コロナウィルス感染症によって、本学のロックダウンおよび特に動物実験施設の稼働縮小によって、実験計画が大幅に遅延した。現在も本学はロックダウン下にあるが、実験は動物実験も含めて可能な状態となっている。本来令和2年度に行う予定であった、実験計画を令和3年度に繰り越し、実験の遅延を取り戻す予定である。
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