研究課題/領域番号 |
19K22620
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
柳田 素子 京都大学, 医学研究科, 教授 (70378769)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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キーワード | 成熟 / 疾患感受性 |
研究実績の概要 |
新生児の腎臓は成人の腎臓とほぼ同じ構造だが、その機能は成人に比して著しく劣っている。しかしながら、腎臓がどのようにして成熟の過程で機能獲得するかは明らかでない。 一方、腎臓病の進行速度は小児よりも成人で速く、成熟とともに疾患感受性が増すことが疫学的に知られているため、「成熟に伴う機能獲得と疾患感受性上昇に共通したメカニズム」の存在が示唆される。本課題では腎臓を題材にとり、成熟に伴う「機能獲得」と「疾患感受性上昇」の制御メカニズムを明らかにする。 マウスは生後1週間程度で腎前駆細胞が消失するとともに腎臓の形態形成が終了し、生後3週間で離乳した後に、性成熟が起きる。本研究では、生後3週齢と8週齢の雌マウスの腎臓を未熟腎と成熟腎として解析した。まず、GeneChipとCAGE(網羅的遺伝子発現解析とともに各遺伝子の転写開始点を同定する手法)を用いた未熟腎と成熟腎の網羅的解析を行い、成熟に伴い、特に再吸収に重要な役割を果たす「近位尿細管」に存在する一群のトランスポーターや代謝酵素が発現増加することを見出した。さらに、成熟に伴って上昇する一群の遺伝子群を制御しうるマスター転写因子候補を同定した。加えて、「マスター転写因子候補」のコンディショナルノックアウトマウスと応募者が以前作成した近位尿細管特異的誘導型Creマウスを交配し、今後の解析に備えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
共同研究を発展させることでBioinformatistの支援を受けることも可能になり、解析が順調に進捗した。さらに作成予定であったマスター転写因子候補のコンディショナルノックアウトマウスも入手できたため、当初の計画よりも順調に進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
今後はマスター転写因子候補のコンディショナルノックアウトマウスと近位尿細管特異的誘導型Creマウスを交配し、当該転写因子の成熟における役割を解析するとともに、腎臓における性成熟の役割についても解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
マスター転写因子候補のコンディショナルノックアウトマウス作成を予定していた点が、転写因子を同定したところ、共同研究で使用できるマウスが見つかったため、その経費が不要となったため。
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