研究課題/領域番号 |
19K22624
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
筋野 智久 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (40464862)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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キーワード | 2光子顕微鏡 |
研究実績の概要 |
腸管は食物抗原、細菌抗原をはじめとした様々な外来抗原を接している最前線であり、抗原に対する炎症反応と、炎症を抑制する反応によるバランスでホメオスタシスを保っている。腸管に過剰な炎症が起きると、炎症抑制系の細胞が誘導され修復機構が働き組織修復を図る。一方で炎症抑制系細胞が適切に誘導されない場合炎症が治らず組織修復が阻害され慢性炎症となる。炎症促進、炎症収束における細胞のバランスについてはこれまでに数多く研究されているが、個々の細胞の動態やその時空的/機能的制御メカニズムを解明することは、感染性腸炎や放射線障害といった急性の腸管上皮障害を伴う疾患、また潰瘍性大腸炎の様に慢性的に上皮障害をきたす疾患の病態解明や、新規消化管修復治療法の開発につながると期待される。本研究では2光子顕微鏡 IVMを用い、in vivoモデルでの炎症時における炎症抑制系細胞の腸管粘膜内局在、粘膜固有層-上皮間の相互移行の頻度や移行の動態を検討する。同時に、免疫学的手法を用い、局在ごとの免疫抑制細胞の機能解析を行う。また、Tregの局在や機能制御を担う因子を同定するため、各種遺伝子改変マウスを用い、IVMによるin vivoイメージングおよび免疫学的機能解析を行う。 定常状態における炎症抑制細胞の局在、動体を小腸、大腸において計測し数値化することに成功した。動体因子に関わる複数の遺伝子を特異的に欠失したマウスを作成しIVMを行なった。その結果動体因子に関わる因子をさらにヒト炎症性腸疾患、大腸ガン患者における腸管手術検体を入手し腸管内免疫細胞のVilli内での局在をおこない方法を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
定常状態における炎症抑制細胞の局在、動体を小腸、大腸において計測し数値化することに成功した。動体因子に関わる複数の遺伝子を特異的に欠失したマウスを作成しIVMを行なった。その結果動体因子に関わる因子の同定が進んでいる。さらにヒト炎症性腸疾患、大腸ガン患者における腸管手術検体を入手し腸管内免疫細胞のVilli内での局在をおこない方法を確立した。1年目の解析方法の確立、人検体を利用した方法論の確立が完了しており、計画通りに進展している。
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今後の研究の推進方策 |
2年目は数種類の細胞間移動因子を特異的に欠損したマウスにおいて腸管内での免疫抑制細胞の動態、局在を計測する。 さらにヒト腸管検体を利用しマウスとの結果を統合する。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度はマウス作成費、管理費が減少し、さらにコロナウイルスによる影響で物流が減少したこともありRNAシーケンスなどの結果が未着のため使用額に差が出ている。本年度は継続してRNAシーケンス、2光子顕微鏡を行うのため予定どおりの資金を使用する計画である。
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