2020 年度研究成果報告書

血管透過性を抑制するマスト細胞の新たな機能の解明

研究課題

PDF

研究課題/領域番号	19K22634
研究種目	挑戦的研究(萌芽)
配分区分	基金
審査区分	中区分54:生体情報内科学およびその関連分野
研究機関	千葉大学
研究代表者	倉島洋介千葉大学, 大学院医学研究院, 准教授 (30729372)
研究期間 (年度)	2019-06-28 – 2021-03-31
キーワード	マスト細胞 / 線維芽細胞 / 血管内皮細胞 / 接触性皮膚炎 / 血管透過性
研究成果の概要	我々は各組織のマスト細胞に特異的に発現している遺伝子を網羅的に解析したところ、ペア型レセプターの一つで免疫受容体抑制性チロシンモチーフを有する受容体が皮膚組織中のマスト細胞で高く発現していることを見出した。そこで、本研究では皮膚マスト細胞に発現するペア型レセプターの機能について明らかにする目的で、ペア型レセプターの発現誘導機構と機能解析を進めた。その結果、当該ペア型レセプターを介したマスト細胞と線維芽細胞及び血管内皮細胞との相互作用は、マウス細胞のキマーゼの発現を調整していることが示された。以上から、皮膚組織において血管透過性を制御するマスト細胞機能調整機構の一端が明らかとなった。
自由記述の分野	免疫学
研究成果の学術的意義や社会的意義	皮膚マスト細胞に発現するペア型レセプターを介した線維芽細胞及び血管内皮細胞との相互作用は、マスト細胞のキマーゼの発現を制御していることが示され、ペア型レセプターが欠損すると皮膚炎が重症化することが明らかとなった。つまり、本研究から得られた新たなペア型レセプターの機能を標的とすることは、治療抵抗性の慢性特発性蕁麻疹、抗ヒスタミン薬抵抗性のコリン性蕁麻疹や接触性皮膚炎の新たな創薬起点となる応用性が期待される。さらに、他の組織で発症する炎症性疾患に対しても「血管透過性の抑制を介した新たな病態制御法」という革新的な治療戦略を打ちたてることができ、新視点からのヒト疾患治療の架け橋となる可能性を有する。