研究課題/領域番号 |
19K22636
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
中尾 篤人 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (80317445)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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キーワード | 概日時計 / アルルギー / 食事 / マスト細胞 |
研究実績の概要 |
本研究では「食事のタイミングがマスト細胞の概日時計リズムに影響を与えI型アレルギー反応の強さや概日リズムに影響を与える」という仮説を検証する。特に現代社会で頻繁に見られる食事タイミングの乱れ(夜間によりシフトした食生活や間食の多い食生活)がI型アレルギー反応に与える影響について解析する。特に、1)活動期(暗期)だけ1日4時間食事を与えるマウス2)休息期(明期)だけ1日4時間食事を与えるマウス3)1日中食事を与える(明期・暗期を問わず食餌を与える)マウスの3群(いずれも総カロリーは同量)に対してマスト細胞の概日時計およびI型アレルギー反応(PCA反応)への影響を検討した。その結果は、2週間、活動期のみ又は一日中食事を与えたマウスでは、概日時計(PERIOD2の発現リズム)は同じ位相だった(活動期に高く休息期に低いリズム)が、休息期にのみ食事を与えたマウスでは、そのようなリズムが消失していた。さらに、このような食事タイミングがI型アレルギー反応の強さや動態に与える影響について検討するために、それぞれのマウス群に6時間ごとにPCA反応を惹起し両群間で比較検討したところ、活動期のみ又は一日中食事を与えたマウスでは、活動期に低く休息期に強くなるPCA反応のリズムを認めたが、休息期にのみ食事を与えたマウスではそのようなリズムが消失していた。以上の結果から、食事のタイミングがマスト細胞の概日時計リズムに影響を与えI型アレルギー反応の強さや概日リズムを変化させることが示唆された。今年度は、これらの実験結果を解析しまとめて論文を作成し投稿した。さらにこれらのリアル・データをもとに、マスト細胞の概日時計、食事摂取のタイミング、PCA反応との関係について数理モデルを作成している。この数理モデルは、今後、マウス・ヒトにおける概日時計・食事・アレルギーの関係を明らかにするための基盤となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、「食事のタイミングがマスト細胞の概日時計リズムに影響を与えI型アレルギー反応の強さや概日リズムを変化させる」という仮説に基づいて行なったマウスの実験データを解析し、まとめ、論文を作成した。さらにそれらを踏まえて数理モデルを作成している。論文は最近、査読付き雑誌に受理された。また数理モデルの作成については、コンピューターや数式の扱いなど不慣れな点も多く進行度は遅かったものの、これまで得られているマウスの実験データをほぼシュミレートできる数理モデルの完成に近づいているため、課題は概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
マスト細胞の概日時計、食事摂取のタイミング、PCA反応との関係についての数理モデルを完成させることに注力し、今後、マウス・ヒトにおける概日時計・食事・アレルギーの関係を明らかにするための大事な基盤とする。これを使い、次年度は、さまざまな食事のタイミングをマウスに与え、マスト細胞の概日時計リズムとI型アレルギー反応の強さや概日リズムについての実験データを詳細に取得して、さらに数理モデルをブラッシュアップしていく。並行して、マスト細胞の概日時計、食事、アレルギー反応をつなぐ分子メカニズムを細胞、個体レベルで解明する。さらに、数理モデルおよびマウスでの知見が、ヒトでも当てはまるかどうかについて次年度以降、臨床研究を計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度はマスト細胞の概日時計、食事摂取のタイミング、PCA反応との関係についてのこれまで得られていたデータを解析し、まとめて論文を作成すること、および数理モデルを作成することにフォーカスした。この数理モデルは、今後、マウス・ヒトにおける概日時計・食事・アレルギーの関係を明らかにして、本研究を発展させるための大事な基盤となる。具体的には、次年度以降に、さまざまな食事のタイミングをマウスに与え、マスト細胞の概日時計リズムとI型アレルギー反応の強さや概日リズムとの関係を調べる実験や数理モデルおよびマウスでの知見が、ヒトでも当てはまるかどうかについて臨床研究を計画している。これまで得られたデータの解析、まとめ、論文作成、ならびに数理モデルの作成は、本やコンピューター以外の経費は必要がないため、今年度は経費を抑え、次年度以降にマウス・ヒトのさらなるリアルデータの取得にかかる膨大な費用のために使用を繰り越すこととした。
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