本研究では「食事のタイミングがマスト細胞の概日時計リズムに影響を与えI型アレルギー反応の強さや時間依存性に影響を与える」という仮説を検証した。特に夜間にシフトした食生活がI型アレルギー反応に与える影響について検討した。この目的のため、以下の3郡のマウスを用意した。1)活動期(暗期)だけ1日4時間食事を与えるマウス2)休息期(明期)だけ1日4時間食事を与えるマウス3)1日中食事を与える(明期・暗期を問わず食餌 を与える)マウスの3群(いずれも総カロリーは同量)。これらのマウスにおける、マスト細胞の概日時計リズムおよびI型アレルギー反応(PCA反応)への影響を解析した。その結果、 2週間、活動期のみ又は一日中食事を与えたマウスでは、概日時計(PERIOD2の発現リズム)は同じ位相だったが(活動期に高く休息期に低いリズム)、休息期にのみ食事を与えたマウスでは、そのようなリズムが消失していた。さらに、活動期のみ又は一日中食事を与えたマウスでは、活動期に低く休息期に強くなるPCA反応の日内変動を認めたが、休息期にのみ食事を与えたマウスでは日内変動が消失した。以上の結果から、食事のタイミン グがマスト細胞の概日時計リズムに影響を与えI型アレルギー反応の強さや時間依存性を変化させることが示唆された。さらにこれらのデータをもとに、マスト細胞の概日時計、食事摂取のタイミング、PCA反応との関係について数理モデル を作成中である。この数理モデルは、今後マウスやヒトにおける概日時計・食事・アレルギーとの関係を明らかにするための基盤となる。
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