染色体異常ががんの発生と進展に深く関与することは古くから知られていた。骨髄異形成症候群(MDS)においても、トリソミー8 やモノソミー7といった数的染色体異常が、MDS病態や予後と密接に関連しており、診断や治療法選択のための不可欠な判断基準でもある。トリソミー8は比較的予後不良であるが、8番染色体上の責任遺伝子や責任領域は、遺伝子発現変動のみの検証ではMDS細胞の不均一性もあって明白になっていなかった。こうした研究状況のなか、申請者は、人工染色体技術を用いて、ヒト8番染色体をマウスES細胞に導入し、+8キメラマウスを作製して新規MDSモデルを確立し、その造血幹細胞機能を解析した。
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