研究課題/領域番号 |
19K22641
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
梅本 晃正 熊本大学, 国際先端医学研究機構, 特任准教授 (50620225)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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キーワード | 造血幹細胞 |
研究実績の概要 |
TPO刺激時に、低いミトコンドリア活性を維持することが分裂後の幹細胞維持に重要であるとの仮説の下、野生型造血幹細胞を自己複製分裂亢進を示すLnk KO 造血幹細胞を未処理の野生型マウスに移植して、その後の幹細胞の動態を検討した。その結果、Lnk KO 造血幹細胞は野生型造血幹細胞と比較して、分裂回数は多くなっているものの、移植細胞由来の細胞中における幹細胞の割合は両者で変わらなかった。これは、Lnk 欠損は幹細胞の分裂を更新しているがその後の運命に影響を及ぼしていないことを示唆している。一方で、5-FU 投与後の前期(自己複製分裂期)、又は後期(分化分裂期)のマウスに、CFSE色素ラベルした造血幹細胞を移植し、分裂を誘導したところ、前期では主に幹細胞が、後期では幹細胞と前駆細胞が産生されることを見出した。さらに、その時、前期の分裂ではミトコンドリアの活性が高い一方で、後期では逆に著しく低い活性を見出している。このことから、TPO刺激後の造血幹細胞の自己複製はミトコンドリア代謝によって、分化分裂はミトコンドリアに依存しない代謝(細胞質内代謝)によって誘導されている可能性を見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予測とは違う結果が得られたものの、TPO刺激時の幹細胞運命制御に重要であると予測される代謝制御の一端を捉ええることが出来たため。
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今後の研究の推進方策 |
ミトコンドリア代謝活性に加え、それに関連する代謝に関しても、TPO刺激時の自己複製分裂と分化分裂間で比較する。それにより、TPO刺激時の幹細胞維持に関わる代謝経路とキーとなる因子を同定し、その分子の制御が分裂期の幹細胞維持にどのような影響を与えるかを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
民間の研究助成を獲得することができ、そちらの資金を使用したため。 翌年度は、人件費が増える見込みなので、それに充てると共に、人員増加のため、諸経費が当該年度より、多くかかる見込みなので、そちらにも充てる予定である。
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