本研究の結果は、造血幹細胞における「Thrombopoietin (TPO)」の相反する効果が制御されるメカニズムの一端を明らかにした。さらに、幹細胞研究において、「自己複製・分化誘導の選択機構」の解明は古くからの大きな問いであり、本研究の成果は、TPO刺激をモデルとして、その機構の解明に寄与したと考えられる。さらに、TPO刺激と代謝制御が試験管内での造血幹細胞維持に寄与することも見出した。従って、本研究の成果は「造血幹細胞の増幅・維持が可能な培養条件」の開発に寄与すると考えられ、将来的には、骨髄移植療法の質・安全・適応の拡大や、造血幹細胞を用いた遺伝子療法にも大きく貢献すると考えられる。
|