研究課題/領域番号 |
19K22644
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
中尾 龍馬 国立感染症研究所, 細菌第一部, 主任研究官 (10370959)
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研究分担者 |
泉福 英信 国立感染症研究所, 細菌第一部, 室長 (20250186)
平山 悟 国立感染症研究所, 細菌第一部, 研究員 (70778555)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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キーワード | 外膜小胞 |
研究実績の概要 |
口腔細菌由来外膜小胞(OMVs)の粘膜ワクチン担体としての応用を視野に、以下について検討を行った。 (1) 口腔由来グラム陰性細菌のOMVsの形態、およびエンドトキシン活性。Porphyromonas gingivalis (Pg) , Aggregatibacter actinomycetemcomitans, Fusobacterium nucleatum (Fn)の形態を走査型電子顕微鏡 (SEM) および透過型電子顕微鏡 (TEM)で観察した。またこれらOMVsのエンドトキシン活性は、カブトガニ血液由来溶出成分を用いたLimulusアッセイにより定量した。その結果、菌種に固有の粒径がある事、Fnにおいては球形ではなく鉢状のナノ構造物も観察される事、またエンドトキシン活性も種により大きく異なる事、が示唆された。 (2) 菌体、及び菌体が産生するヴェシクルの構成理解。新たに走査型電子顕微鏡-エネルギー分散型X線分光法 (SEM-EDX)を活用して、細胞菌体とOMVsにおけるそれらの元素組成を解析した。SEM-EDXとは電子線照射により発生する特性X線を検出し、エネルギーで分光することによって、元素分析や組成分析を行う手法である。Pgの細胞菌体とOMVsでは、元素組成が大きく異なることが示された。 (3) PgとAa のOMVsのアジュバント 活性・免疫原性の評価。細胞・動物実験により評価した結果、PgのOMVによるIL-6とIL-12の誘導活性は、AaのOMVに比較してタンパク質量換算で1/1,000であり、顕著に低かった。また、AaのOMVは単独でもその投与量に依存してAa菌体に特異的な抗体産生を誘導し、高いセルフアジュバント活性を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
外膜小胞の形態・構成の理解、および外膜小胞の安全性評価について検討を行い、一定の進展がみられたため。
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今後の研究の推進方策 |
口腔細菌外膜小胞産生機構の理解を深め、外膜小胞への異種抗原の発現系の確立する。さらに、外膜小胞の医療応用に向けた安全性・ワクチン効果に関する成果を蓄積する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、実験などの実施が滞ったため。 研究を迅速に進め、最終的に当初の予定通り実施できるよう努める。
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