研究課題/領域番号 |
19K22648
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
出沢 真理 東北大学, 医学系研究科, 教授 (50272323)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | Muse細胞 / 多能性幹細胞 / 免疫抑制 / 点滴 / 他家移植 |
研究実績の概要 |
本年度はMuse細胞の事前投与によって、骨髄移植がMHC適合や免疫抑制剤無しに生着するのかをマウスの実験系を用いて検討した。C56BL/6マウスからSSEA-3(+)Muse細胞を採取し、別系統のBALB/cマウスに静脈投与しておく。その後C5BL/6系統GFPマウス骨髄からCD34+造血幹細胞を採取し、事前にMuse細胞を投与しておいたBALB/cマウスに骨髄移植を行なった。コントロールの動物は事前にMuse細胞を投与していないBALB/cマウスに直接C56BL/6マウスCD34+の細胞を投与したもの(vehicle群)、ないし間葉系幹細胞由来のSSEA-3陰性の細胞を投与するもの(non-Muse群)とした。免疫抑制剤は一切投与されていない。約20週後、末梢血、脾臓、骨髄等を採取し、造血系細胞の中にGFP陽性細胞の有無をFACSで検討し、あらかじめMuse細胞を投与した動物で、別系統の造血幹細胞が体内で生着し、血液系細胞となって分化しているかを調べた。その結果、Muse群ではGFPマウス骨髄由来のCD34+造血幹細胞がより高く生着し、樹状細胞、T細胞、B細胞、マクロファージ・単球、顆粒球に高い比率で分化していたことが示唆された。特にCD11c(+)の樹状細胞、CD11bの単球・マクロファージ系細胞の2種類はvehicle, non-Muse群の両群と比較して、Muse群は優位に増加していた。またCD3(+)のT細胞、CD19(+)のB細胞、CD41(+)の巨核球では3群の中でMuse群がもっとも比率が高かったが、統計的有意差はvehicleとMuse群の間にのみ見られた。このことから、Muse細胞を事前に投与することによって、移植の拒絶が軽減されることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全体としては概ね計画に沿って実験は進められているが、肝臓などの臓器移植はげっ歯類で行う場合には動物が小型であるために手技的に容易ではない。また造血系の場合は解析すべき対象となる免疫系細胞の種類が多いため、パラメーターが増えてしまい、これも容易な実験ではない。今後こういった現実的な実験系を含めて、より実現性の高い実験に絞って進める必要があると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度の研究によって、骨髄移植がMuse細胞投与によって免疫抑制剤なしに生着させられる可能性が示唆された。2021年はこの研究をさらに進め、動物の数を増やして検討を深める。さらにはMuse細胞のドーズ依存性によって造血幹細胞の生着が強化されるのか、Muse細胞の投与のタイミングがどのくらいが最適なのか、などを検討する。造血幹細胞の実験と並行して皮膚移植についても検討をする。C57B6をドナーとし、Balb/cをレシピエントとし交換皮膚移植を行うが、その際、事前にドナーのMuse細胞を血管投与し、その後に皮膚移植を行う。さらにはMuse細胞が骨髄内でどのような作用がなされているのかを解析したい。
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