研究課題
本研究では、ヒト胆道癌のマウス同所性移植モデルの確立を目指し、皮下移植モデル、胆嚢への移植モデル、肝内への移植モデルを作成してきた。これらの過程で、肝内には微小な肝内胆管が張り巡らされていることを鑑みて、最も容易な同所性移植モデルとして肝内への腫瘍移植を試みた。肝内への移植は、開腹後に肝を小切開し腫瘍片を留置し切開部を縫合閉鎖および圧迫止血することで可能であるが、手技としては胆嚢への移植に比して容易であった。4匹のヌードマウスの肝内に患者A由来の2回継代後の腫瘍を移植し、2か月後に4匹を犠牲死させたところ、4匹すべて(100%)で肝での腫瘍の生着と増大を認めた。また同時期に同一患者A由来の3回継代後の腫瘍を3匹のヌードマウスの皮下に移植し、2か月後に3匹犠牲死させたところ、2匹(67%)において腫瘍の生着と増大を認めた。一方で、胆道癌患者B由来の患者検体を用いた移植実験において、胆嚢への移植モデルでは移植後5か月の時点で生着を認めたマウスは多かったが、移植後2か月の犠牲死の際に胆嚢とともに腫瘍が消失し腫瘍の生着を認めないマウスも存在した。技術的に何らかの問題が存在する可能性が懸念された。移植部位における技術的難易度は、皮下、肝、胆嚢の順に容易であった。本実験では少数ながら肝内移植が全例生着していることから、胆道癌組織の肝内移植が容易に実施可能な同所性移植マウスモデルになる可能性が示唆された。次に、ラットのPartial bile duct ligation modelを改変し、結紮の肝臓側で胆管内にカニュレーションし、ヒト胆道癌を注入することに成功した。これは、胆道癌に伴う胆管閉塞を模したモデルである。施術後1週間ごとに動物用エコーで胆管の観察を行ったところ、直径3mm程度と拡張を認め、腫瘍の生着が示唆されている。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 11件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 7件、 招待講演 1件)
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