研究課題
細胞周期離脱癌(G0癌)/細胞周期再進入癌モデルを作成し、各々の細胞に特異的な癌抗原を新たに同定し、細胞性免疫を惹起することにより細胞周期離脱癌(G0癌)/細胞周期再進入癌に対する免疫監視機構を構築することが本研究の目的である。本年度は、細胞周期離脱癌/再進入癌作成のため、癌細胞に種々の遺伝子を導入し、細胞周期離脱癌/再進入癌を制御する遺伝子を見出すための実験を行った。遺伝子抑制の実験をsiRNAを導入する系を用いて行い、その候補としてChromosome 4 open reading frame 47(C4orf47)を見出した。膵癌細胞において、C4orf47を抑制すると、膵癌の増殖は有意に亢進し、浸潤は有意に低下することが分かった。即ち、C4orf47は膵癌細胞において増殖能低下および浸潤能亢進に関与していることが示唆された。このC4orf47は、癌微小環境のひとつである低酸素環境で発現が亢進することが分かった。従って、膵癌細胞は低酸素環境ではC4orf47発現を亢進させて、増殖を低下させ、浸潤能を亢進させて過酷な環境で生き抜く、いわゆる休眠状態(dormancy)に関与しているのではないか、と考えている。dormancyを客観的に評価する方法として、pERK、p-p38発現比があるが、C4orf47を抑制すると、その比が亢進することにより、dormancyが解除されていることが示唆された。従って、このC4orf47の制御が、胞周期離脱癌(G0癌)/細胞周期再進入癌を制御する一つの遺伝子抑制モデルになるのではないかと考えており、今後は、C4orf47を導入(強制発現)することで、癌増殖が抑制されるのか、など治療法開発の研究を継続していきたい。
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