研究課題/領域番号 |
19K22665
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
久米 努 熊本大学, 生命資源研究・支援センター, 客員教授 (60786474)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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キーワード | リンパ管 / VEGF-C / 小腸虚血再灌流障害モデル / 虚血性腸疾患 / リンパ管内凝固 |
研究実績の概要 |
本研究では小腸リンパ管の基本原理の統合的解明を基に、その小腸恒常性維持が破綻した虚血性腸疾患の新しい治療法の開発に繋げることを念頭において研究を進めている。 リンパ管形成異常を有する二つの変異マウス系統(Foxc2-/-及び VEGF-R3-/-) を基に小腸虚血再灌流障害モデルに応用した場合、小腸粘膜透過性とリンパ管形成の異常を呈する先行結果をもとに研究計画を考えた。もともと作製した Foxc2-/- マウスに加え、VEGFR3-/- マウスラインについては確保した。更にその応用として、リンパ管内皮細胞での増殖シグナルmediator (Rasa4、Rasal3) に着目し、熊大 CARD での遺伝子編集技術を用いて Rasa4-flx と Rasal3-flx マウスの樹立に成功した。しかし、COVID19 での海外とのやりとり、人的交流ができないこと、特に米国においてマウスはライン維持だけで拡張することが出来ない分、本申請での研究に遅れが出てきている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度の報告でも COVID19 の影響を受けたことを記載したが、さらに国際間のやりとりで支障がでた。遺伝子改変マウスの必要なものは樹立したので、その成果報告を今後できるよう考慮している。計画代換えとして、近交系のC57/BL6j マウスを小腸虚血再灌流障害モデルに用い、リンパ管誘導因子(VEGF-C/D) を静脈投与してリンパ管形成を促進させ、小腸粘膜の損傷に対する保護効果について検討を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
昨年同様、腸絨毛の中心部にある一本の細いリンパ管(中心乳び管)での吸収作用以外の、小腸粘膜構造維持に関するリンパ管の機能について、小腸リンパ管の基本原理の統合的解明をモデルマウス及びゲノムワイドな転写制御の解析を基に進めていく計画を維持していく。また COVID19の後遺症として循環動態の悪化が考慮されている。とくにリンパ管内凝固など、リンパ管内皮での炎症がどのように、全身病態の悪化につながっていくのか、連携研究者 南とともに研究を展開していく計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症の感染拡大により、アメリカから日本国内の共同研究先に行く都合がつかず、発表を予定していた国際学会も中止・延期となった。更に研究分担先の熊本大学分子血管制御分野・南の方も遺伝子組み換えマウスでの実験計画がコロナ禍事由で人材不足・研究資材の納品遅延により、約10か月程度遅れている。そこで次年度に延長し、実験補助員の確保と延期となった成果発表での国内・国外旅費として使用する。
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