本研究では小腸リンパ管の基本原理の統合的解明を基に、その小腸恒常性維持が破綻した虚血性腸疾患の新しい治療法の開発に繋げることを念頭において研究を進めている。リンパ管形成異常を有する二つの変異マウス系統(Foxc2-/-及び VEGF-R3-/-) を基に小腸虚血再灌流障害モデルに応用した場合、小腸粘膜透過性とリンパ管形成の異常を呈する先行結果をもとに本研究計画を考えた。もともと作製した Foxc2-/- マウスに加え、VE-cadherin-creERT2 マウスラインについては確保した。更にその応用として、リンパ管内皮細胞での増殖シグナルmediator (Rasa4、Rasal3) に着目し、熊大 CARD での遺伝子編集技術を用いて Rasa4-flox と Rasal3-flox マウスの樹立に成功し、シカゴノースウェスタン大学にてタモキシフェン投与して特異的に血管内皮及びリンパ管内皮にて Cre を発現するマウスとの掛け合わせが修了した。このリンパ管機能変化について、熊大 CARD とどのような連携で成果報告するか話し合っている段階である。
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