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2019 年度 実施状況報告書

in vitro血管発生再現法を用いた肺組織再構成

研究課題

研究課題/領域番号 19K22666
研究機関横浜市立大学

研究代表者

田所 友美  横浜市立大学, 医学部, 助教 (20507644)

研究期間 (年度) 2019-06-28 – 2021-03-31
キーワードヒトiPS細胞 / 肺オルガノイド / 同所性移植
研究実績の概要

研究代表者は、in vitroにおいて肝臓再構成を可能にする「in vitro血管発生再現法」を開発してきた。その技術をヒトiPSC由来肺オルガノイドに応用し、ヒト肺組織の再構成に挑戦する。また、「in vitro血管発生再現法」で再構成した肺オルガノイド注入移植などの開発を行う。これらの開発により、in vitro、in vivoにおけるヒトiPSC由来肺組織再構成を目指している。
本年度は、まずヒトiPSC肺前駆細胞または肺オルガノイドの分化誘導系の確立を実施した。ヒトiPS細胞よりアクチビンとCHIR99021を3日間作用させることにより内胚葉と間葉系の細胞の両方を含む状態に分化誘導した後、BMPシグナリング/TGF-betaシグナリングの阻害によりSox2陽性の前方前腸、BMPシグナリング/Wntシグナリング/レチノイン酸シグナルの活性化によりNkx2-1陽性の腹側前方前腸への分化が確認された。その後、3次元培養を実施し、1週間後にはスフェロイドの形成が確認され、肺前駆細胞のマーカーであるNkx2-1、I型肺胞上皮細胞マーカーであるAQP5、II型肺胞上皮細胞マーカーであるSFTPCの発現が認められ、肺オルガノイドの分化誘導法を確立することができた。
次に、肺オルガノイドの同所性移植法について検討を行った。肺表面への移植は、肺の大きく収縮/拡張するという性質から困難であった。そのため、肺への注入移植を実施した。移植材料として、GFP発現C57BL/6マウスの胎生13日肺より直径100 μm程度のオルガノイドを形成し、2日後に8週齢C57BL/6マウス肺への移植を実施した。移植2週間後にレシピエント肺にGFP陽性の領域が観察され、肺への同所性移植手法を確立することができた。今後は上記2つの技術を組み合わせ、in vivoヒトiPSC由来肺組織再構成を目指す。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2019年度は、ヒトiPSCから肺オルガノイドの分化誘導系の検討を行い、肺前駆細胞のマーカーであるNkx2-1、I型肺胞上皮細胞マーカーであるAQP5、II型肺胞上皮細胞マーカーであるSFTPCを発現する肺オルガノイドの分化誘導法を確立することができた。
また、肺オルガノイドの同所性移植法について検討を行った。肺表面への移植は、肺の大きく収縮/拡張するという性質から困難であったため、肺へのオルガノイド注入移植を検討した。移植材料として、GFP発現C57BL/6マウスの胎生13日肺より直径100 μm程度のオルガノイドを形成し、2日後に8週齢C57BL/6マウス肺への移植を実施した。手術は麻酔下、マウス用人工呼吸器と接続し、開胸後に実施した。移植2週間後にレシピエント肺にGFP陽性領域が観察され、肺への同所性移植手法を確立することができた。

今後の研究の推進方策

2020年度は、前年度に作製法を確立したヒトiPSC肺オルガノイドを免疫不全マウスの肺に注入移植を実施し、in vivo肺組織再構成を試みる予定である。免疫不全マウスに適した麻酔量・オルガノイド移植量の検討を行う必要がある。In vivo肺組織再構成へ向けたオルガノイドの血管化に関しては、注入移植に適合するようにオルガノイドに付与する必要がある。具体的には、オルガノイドとヒトiPSC血管内皮細胞と間葉系細胞をマイクロパターンプレートに播種し培養を行うことで血管付与を行う。
また、in vitro血管発生再現法を用いてヒトiPSC肺オルガノイドの血管化を実施する予定である。今回、肺表面移植が困難であることが明らかになったため、in vitro再構成肺組織をそのまま移植することは現段階では現実的ではないが、将来的に気道を含めたin vitro肺組織創出への展開を見据えて本検討を進める。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件)

  • [学会発表] DORSOVENTRAL DIFFERENCE IN TRACHEAL BASAL STEM CELLS2019

    • 著者名/発表者名
      Tomomi Tadokoro, Keisuke Tanaka, Brigid L.M. Hogan, Hisato Kobayashi, Hideki Taniguchi.
    • 学会等名
      ISSCR 2019 meeting
    • 国際学会
  • [図書] Advances in Medicine and Biology.2019

    • 著者名/発表者名
      Tomomi Tadokoro and Hideki Taniguchi
    • 総ページ数
      16
    • 出版者
      Nova Science Publishers
    • ISBN
      978-1-53616-584-5

URL: 

公開日: 2021-01-27  

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