研究課題/領域番号 |
19K22669
|
研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
桑原 強 金沢医科大学, 医学部, 助教 (30566906)
|
研究分担者 |
吉崎 尚良 金沢医科大学, 医学部, 講師 (00443490)
|
研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
|
キーワード | 腸管神経系 / 腸管神経移植 |
研究実績の概要 |
ヒルシュスプルング病(HSCR)は、新生児期に重度の便秘や腸閉塞を主訴とする疾患で、腸管筋層や粘膜下層の神経叢である腸管神経系(ENS)の欠如が原因とされる。ENSは腸管神経堤由来細胞(ENCCs)が、発生期に腸管壁内を口側から肛側に向けて移動することで形成される。この形成過程が阻害されることでHSCRが発症すると考えられている。HSCRにおける腸管神経の欠損は、結腸の口側から肛側にかけてさまざまな長さのものがある。HSCRの治療は一般的に、無神経節腸管の切除と肛門への吻合が根治術となるが、全結腸や小腸まで腸管神経を欠損するような症例では死亡率が高く(全結腸型16%、小腸型36%)、短領域型でも25%の患者に弁失禁の合併症が確認されており、新しい治療法として小腸移植や神経堤幹細胞移植による再生医療が強く望まれている。しかし細胞補充療法の開発は、移植腸管神経細胞の定着率の低さからその実現は困難なものとなっている。我々は本課題で、マウス胎仔腸管発生の研究からENCCsの遊走を亢進する因子、抑制する因子を複数同定し、抑制する因子の分解酵素処理が移植神経細胞の定着に効果があること、さらに促進する因子を処理することで筋層への腸管神経の浸潤が促進することを明らかにした。またHSCR患者由来iPS細胞を作成し、腸管神経細胞に分化誘導したときの移植効率の違いを検証するため、17人の患者末梢血からiPS細胞を作成した。今後分化誘導を行い分化効率、遊走能の違いが移植効率に影響を持つかも併せて検証していく。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
iPS細胞から腸管神経系への分化誘導の効率が低くシートの構築が困難になっているため、現在当初予定の計画から変更し、分化効率の向上のための実験過程を追加して進めている。
|
今後の研究の推進方策 |
現在までの進捗状況で述べたように、実験計画かやや遅れているため、現在当初予定の計画から変更し、分化効率の向上のための実験過程を追加して進めている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
iPS細胞の分化効率の検証で時間がかかってしまい、予定通り研究計画が進まなかったため。次年度では並行してこの部分の実験を行うことで研究計画を促進させ完了させる予定にしている。
|