先天性神経節腫症としても知られるヒルシュスプルング病(HSCR)は腹部膨満を引き起こし、生存には神経節性腸の外科的切除が必要となる。しかし外科的処置には術後の腸炎、便失禁といった副作用の報告もあり、腸管神経移植療法の開発が望まれている。最近、我々は、漿膜で発現するVI型コラーゲンがフィブロネクチン誘発性の腸管神経堤由来細胞(ENCCs)の移動を阻害することを報告した。本研究では、レシピエント腸管のI型コラゲナーゼとフィブロネクチン処理が、移植されたENCCsの定着を促進することを明らかにした。I型コラゲナーゼ処理した結腸に移植したニューロスフェアは、未処理の結腸よりも素早い腸管内腔方向への浸潤が観察され、フィブロネクチンはその浸潤をさらに促進した。レシピエント結腸に対する、ドナー神経幹細胞の受容促進を可能にするこの発見は、幹細胞を用いた細胞療法の改善に寄与する。
|