研究成果の概要 |
ホルモン産生細胞などの神経内分泌細胞は単離培養・不死化が難しく、細胞移植療法は実用化されていない。本研究では正常ヒト膵島細胞、ホルモン産生性下垂体腺腫細胞の培養法を至適化し変異CDK4, cyclin D1, TERTの3遺伝子の導入により不死化した。さらに、名大 須賀秀隆博士、佐藤好隆博士、高知大学 西山充博士の協力のもと、将来の細胞補充療法を目指し、正常ACTH産生細胞の不死化を計画した。conditionalに変異CDK4, cyclin D1を発現するiPS細胞3クローンを用いて下垂体オルガノイドの作成し、分化誘導によりACTHの分泌がDox添加時に増加するクローンが得られた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
膵島や下垂体などのペプチドホルモンを産生する神経内分泌系細胞を単離培養できれば、細胞移植療法による補充治療に直結する。しかし神経内分泌細胞の単離、培養、増幅は難しく、機能性神経内分泌細胞株はほとんどない。膵島細胞や、下垂体腺腫細胞に変異CDK4, cyclin D1, TERTの3遺伝子の導入により不死化することには成功したが、ホルモン産生能が低下していた。そこで、より実用化を促進するためiPS細胞から分化したホルモン産生細胞を増幅不死化する方法を考案した。iPS細胞から分化誘導した神経内分泌細胞の増幅・不死化法を確立できれば細胞移植療法による補充治療への実用化を促進することができる。
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