研究実績の概要 |
「母体状態・薬剤が胎生期器官の細胞周期に及ぼす影響:子宮内ライブ評価系の構築」は,器官形成期に,ヒト胎児の種々の組織内で進行する細胞周期に対して母体の全身状態の急性変化や薬剤がどのような影響を及ぼしうるかに関して,産婦人科学はもとより,幅広い医学領域にとって有用となる全く新しい知見を得ることをめざし,マウスを用いた鋭敏な評価系を開発するべく行われてきた.これまでに成果を Dev. Growth Differ. 2020, Nat. Commun 2020 へ報告してきた.そうした神経幹細胞による細胞産生と分化に関する動態とミクログリアに関する動態についての成果を踏まえて,イメージングをより俯瞰的・包括的に進めた.血管とミクログリアの関係に基づき,ペリサイトとミクログリアの新しい関係性を見出し,論文として報告した(Hattori et al., J. Neurosci., 2021).一方,これまでの胎生14日,胎生13日でのノウハウを生かし,子宮内観察の新しい方法論として,胎生12日の intravital 観察を,手製の工夫を通じて達成し,マクロファージ動態の観察結果とあわせて論文とした(Hattori et al 論文投稿中).一方,胎生期頭部全体に対する視点を拡張的に生かして,頭皮と脳原基の間の力学的な関係について新知見を得て,論文報告した(Tsujikawa et al., Dev. Dyn. 2022).さらに大脳の壁の内面の凹凸に関わる細胞力学的メカニズムの解析結果も論文報告した(Nagasaka and Miyata, Front. Dev. Cell. Biol. 2021).
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