研究課題
これまでの研究により、卵巣チョコレート嚢胞のマスター遺伝子としてHOXC8を同定した。さらに、細胞増殖、遊走、および線維化を含む卵巣チョコレート嚢胞の特徴的な細胞機能は、HOXC8とそれによって活性化されたTGFβシグナル経路により誘導されることを明らかにした。令和3年度は、HOXC8による活性化されたTGF-β経路を検討した。TGF-βシグナルにおいて子宮内膜症の線維化に関与する経路はSmad経路、Rho-Rock経路がある。HOXC8過剰発現子宮内膜間質細胞(以下HOXC8-ESC)におけるSmad経路の活性化は、リン酸化Smad 2/3の発現上昇により確認済みである。HOXC8過剰発現ESCにおけるSMAD経路/Rho-ROCK経路の阻害による線維化能の変化を検討した。Collagen gel contraction assay (以下CGCA)を用いた先行研究で、HOXC8過剰発現による線維化能の亢進は証明済みであるが、Smad経路とRho-ROCK経路のそれぞれの阻害薬であるALK5 inhibitor、ROCK inhibitorを添加してCGCAを行ったところ、線維化能が抑制された。すなわち、HOXC8によるTGF-β経路活性化と線維化にはSmad経路、Rho-Rock経路が関与していることを明らかにした。これまでの研究により、卵巣チョコレート嚢胞のマスター遺伝子としてHOXC8を同定した。さらに、細胞増殖、遊走、および線維化を含む卵巣チョコレート嚢胞の特徴的な細胞機能は、HOXC8とそれによって活性化されたTGFβシグナル経路により誘導されることを明らかにした。令和3年度は、HOXC8によるTGF-βシグナル活性化と線維化には、Smad経路、Rho-Rock経路が関与していることを明らかにし、マスター遺伝子HOXC8の機能を詳細に明らかにすることができた。
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