研究課題/領域番号 |
19K22689
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
金山 博臣 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (10214446)
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研究分担者 |
大豆本 圭 徳島大学, 病院, 特任助教 (10745516)
宇都 義浩 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(生物資源産業学域), 教授 (20304553)
上原 久典 徳島大学, 病院, 教授 (30263809)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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キーワード | 鶏卵 / PDX / 個別化医療 / CAM |
研究実績の概要 |
鶏卵を用いた薬剤スクリーニング法の確立のために2019年度は ①癌組織の鶏卵への移植法確立、②移植腫瘍の病理学的評価 ③鶏卵への抗がん剤の毒性試験 ④抗がん剤の抗腫瘍効果検討 を行った。①については泌尿器癌の手術検体やすでに確立しているPatient-Derived Xenograft (PDX)モデルの腫瘍検体を用いて鶏卵への移植法について検討した。腫瘍組織のミンス法や、摘出腫瘍塊をそのまま移植するブロック法について検討したところ、ミンス法で移植腫瘍の安定した移植が可能であった。②の病理学的評価ではオリジナルの手術検体やPDX腫瘍検体のHE染色像、ヒト上皮性腫瘍マーカーのCK AE1/AE3による免疫染色像を比較した。鶏卵への移植腫瘍はオリジナル腫瘍組織の形態と非常に類似した形態を呈しており、またCK AE1/AE3が染色され、ヒト由来であることが確認できた。③ については尿路上皮癌の治療で用いられるシスプラチン、ゲムシタビン、パクリタキセルを用いて行った。鶏卵への抗腫瘍効果を検討する上で鶏卵の生存に関して耐えることができる濃度を確認した。④については尿路上皮癌の鶏卵移植モデルに対して経静脈投与でゲムシタビン、パクリタキセル、スニチニブを投与した。Ki-67染色を行い、抗腫瘍効果を検討したところ、未治療群と比較してゲムシタビン56%、パクリタキセル64%、スニチニブ72%の抗腫瘍効果であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究で、実験計画の「鶏卵を用いた次世代患者由来がんモデルの作製と薬剤スクリーニング法の確立」のモデル作製の項目のうち、手術検体及びPDX検体からの腫瘍移植法をミンス法で安定して行えることがわかった。また薬剤スクリーニング法の確立として、経静脈的に薬剤投与する方法で尿路上皮癌に対して抗腫瘍効果が期待できた。これらの成果は2020年がん分子標的治療学会で発表する予定であり、研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、腎細胞癌および尿路上皮癌の腫瘍数を増やして、鶏卵移植モデルに抗がん剤や分子標的治療薬を投薬し、薬剤感受性を検討していく予定である。抗腫瘍効果の判定方法として重量測定とKi-67染色による評価を行う。さらに臨床応用を意識したPET-CTによる評価を計画している。またミンス法では組織は均一化しているが、癌細胞が移植個体によっては偏りがでることがある。移植腫瘍をミンス後さらにメッシュ法で癌細胞塊の大きさを統一し移植することでより均一化した腫瘍移植を行うことを計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
3月に納品されたが、4月に支払いとなるため次年度使用額が生じた。 4月に支払いが完了となる予定である。
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