研究課題
声帯瘢痕、声帯溝症は重度の音声障害をきたし、近年、我々は再生医療を駆使した治療法の開発を行ってきたが、特に重症の瘢痕に対してはまだ十分な治療効果がえられていない。本研究では新たな革新的手法として、硬化・変性した声帯粘膜の全置換を目指し、羊膜移植の安全性、有効性について検討した。まずラットの声帯線維芽細胞を採取し、羊膜上に播種したその親和性を検討した。羊膜上の線維芽細胞は良好に生着、増殖し、Ki67、Vimentin、Fibronectinを発現した。またqPCRにより線維芽細胞内のヒアルロン酸合成酵素(HAS)および肝細胞増殖因子(HGF)の有意な遺伝子発現を認めた。次にラビット喉頭を用い、声帯粘膜を全除去後に羊膜の萎縮を施行し、その後の声帯再生効果を検討した。結果、羊膜の生着は良好で、1か月目には声帯粘膜の再生が確認された。組織学的にもヒアルロン酸の豊富な蓄積を認め、瘢痕組織はほとんど認めなかった。以上の結果は羊膜が声帯の親和性に優れ、声帯粘膜の全置換再生に有用であることを示した。
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Laryngoscope
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10.1002/lary.29997.