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2019 年度 実施状況報告書

エピゲノム異常が合指症を引き起こすメカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K22695
研究機関国立研究開発法人理化学研究所

研究代表者

藥師寺 那由他  国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 研究員 (70565316)

研究期間 (年度) 2019-06-28 – 2021-03-31
キーワードCtBP1/2 / ポリコム複合体 / クロマチン制御 / 四肢形成 / 合指症 / CUT&Tag
研究実績の概要

手足の先天異常の一つである合指症は、生まれつき隣り合った指が癒合した状態である。少なくとも9つの非症候性合指症とそのサブタイプに分類されるが、ほとんどのタイプではその原因は不明である。我々はこれまで、クロマチン制御因子であるポリコム複合体が四肢の形態形成を制御していることを明らかにしてきた。その過程で、ポリコム複合体の共役因子であるCtBP1/2の欠損マウスが合指症(タイプVI)によく似た表現型を示すことを見出した。タイプVIは発症原因がほとんどわかっていない。本研究課題においては、四肢形成過程におけるCtBP1/2の機能を明らかにし、その破綻がどのようにして合指症を引き起こすのか、その機構を解明することを目的としている。
本年度は、コントロールおよびCtBP1/2欠損型のマウス10.5日胚と11.5日胚の肢芽をそれぞれ用いて、遺伝子発現解析(RNA-seq)をはじめに行なった。野生型とCtBP1/2欠損型の結果を比較したところ、遺伝子発現の差は11.5日胚の方がより顕著であることがわかった。そこで11.5日胚での解析に焦点をあて、次にCtBPの結合状態およびヒストン修飾状態についてCUT&Tag法を用いて調べた。その結果、CtBP2は主に遺伝子の転写開始点に結合していること、CtBP2の結合が転写開始点付近にみとめられる標的遺伝子群の発現は、CtBP1/2が失われると基本的に脱抑制する傾向にあった。これらの結果は、肢芽においてCtBP1/2は主に抑制因子として作用することを示唆している。さらに、CtBP2が結合する転写開始点領域周辺でのヒストン修飾状態とポリコム因子の結合状態を調べたところ、興味深いことに、発現が上昇するような遺伝子群はRING1B, H2AK119ub, H3K27acの蓄積が全て増加する傾向にあった。現在これらの解析をより詳細に行っているところである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

通常のクロマチン免疫沈降(ChIP)実験は必要な細胞数が多く、肢芽を用いての実験ではサンプリングにかなりの時間を必要とする。限られた細胞数の中でよりスムーズに実験計画を遂行するため、本研究では少数細胞からクロマチンプロファイリングが行えるCUT&Tagの系(Kaya-Okur et al., Nat Commun. 2019)を導入し、最適化した。そのセットアップに多少時間がかかったものの、これまでに興味深い結果が得られており、今のところ当初の計画通りに実験は進んでいると考えている。

今後の研究の推進方策

これまでのところCtBP1/2の生化学的な機能についてはほとんど解析できていない。不均一な細胞集団である肢芽を用いての生化学実験は難しいことから、今後はCtBP1/2ノックアウトES細胞を用いてCtBP1/2とポリコム複合体の相互作用について生化学的解析を進めていく。また、肢芽形成におけるクロマチン制御機構に対してCtBP1/2が果たす機能について、引き続き解析を進めていく。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] A novel mouse model of syndactyly: The role of CtBP1/2 in limb organogenesis2020

    • 著者名/発表者名
      Nayuta Yakushiji-Kaminatsui, Hiroki Sugishita, Manabu Nakayama, Haruhiko Koseki
    • 学会等名
      53rd Annual Meeting for the Japanese Society of Developmental Biologists

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公開日: 2021-01-27  

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