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2019 年度 実施状況報告書

標的指向型liposomeを用いたリラキシンによる口蓋瘢痕組織新規治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 19K22703
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

森山 啓司  東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (20262206)

研究分担者 小川 卓也  東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授 (50401360)
東堀 紀尚  東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 講師 (50585221)
小林 起穂  東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (20596233)
研究期間 (年度) 2019-06-28 – 2022-03-31
キーワードリラキシン / 口蓋裂 / 瘢痕組織
研究実績の概要

RLN2は様々な生理作用を持つインスリン様ペプチドホルモンの一種で、恥骨結合や子宮周囲の線維性結合組織を弛緩させ分娩を補助することで広く知られている。近年ではその血管拡張作用と線維化抑制作用が急性心不全の治療薬としても注目されている。肝繊維腫のような病的線維化状態におけるリラキシン受容体1(RXFP1)の発現の上昇はすでに報告されている。また、RLN2がRXFP1/phospho-ERK/nNOS/NO/cGMP依存性の経路だけでなく、MMPの発現を促進するiNOSの発現も亢進するとされている。さらに筋線維芽細胞におけるiNOSの活性を阻害するTGF-β1リン酸化-Smad2の経路を抑制することで、RLN2はMMP産生の効果を示すiNOSを放出する。これらをふまえて、当分野での報告(Kamimoto H. et al., 2019)では、Cy5.5、酸化鉄をリポソームに内包させ、磁性制御によって口蓋粘膜にリポソームを集積させることが可能となった。ラット口蓋粘膜下にこのリポソームをマイクロインジェクション後、その局在をin vivo imaging観察し、48時間ごとにリポソームを追加注入することで組織内に一定のリポソームを局在させることが可能であることが明らかとなった。ラット上顎口蓋正中縫合の線維芽細胞におけるRXFP1の発現を確認した。また、ラットMPSの拡大中にリポソームをキャリアとしたRLN2がRXFP1を介して上顎正中口蓋縫合部の線維芽細胞におけるMmp-1、Mmp-2、Timp-1の発現を促進することを示した。これらのRLN2による細胞外基質代謝関連物質の発現上昇は、口蓋部に形成された瘢痕組織の分解作用を持つ可能性が考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

ラット上顎口蓋正中縫合の線維芽細胞におけるRXFP1の発現を確認した。また、ラットMPSの拡大中にリポソームをキャリアとしたRLN2がRXFP1を介して上顎正中口蓋縫合部の線維芽細胞におけるMmp-1、Mmp-2、Timp-1の発現を促進することを示した。一方、2019年度内に着手する予定であった口蓋瘢痕組織特異的に存在する筋線維芽細胞および線維芽細胞の不死化とクローン化と、これら細胞の表現型に対するRLN2(RLN2-lipo)の作用をin vitroでの解析および生体親和性標的指向型リポソーム(糖鎖シアリルルイスX:SLX表面修飾)-RLN2の構築は未完遂であるため。

今後の研究の推進方策

1.RLN2-lipoの構築:リポソーム表面に炎症組織特異的集積を示す糖鎖SLXを修飾し、RLN2およびCy5.5を内包させる。
2.ラット株化筋線維芽細胞樹立およびモノクローナル化:4週齢雄性SDラット口蓋粘膜に3x5 mmの骨膜を含む粘膜欠損を形成し、瘢痕組織を形成する。これら瘢痕組織より、初代培養を経て、セルソーター(学内共有機器、FACS Aria II)にてαSMA陽性筋線維芽細胞および対照群としてαSMA陰性線維芽細胞を回収後、不死化細胞作製受託サービスにておのおの不死化細胞を得、限界希釈法によりクローン化(n=10)を行う。
3.RLN2-lipoが株化筋線維芽細胞特性に与える影響についての解析:各細胞にRLN2-lipoを作用させ、α-SMA、TGF-βタンパク質の発現量、Smad 2/3やJNKシグナル伝達関連因子のリン酸化の定量を行う。また、細胞増殖、アポトーシス、各種MMPs発現量、コラーゲン分泌量、コラーゲンゲル収縮率、細胞遊走率について解析する。

次年度使用額が生じた理由

本年度予定していたラット株化筋線維芽細胞樹立およびモノクローナル化の進捗状況が遅れたため次年度使用額が生じた。2020年度以降の動物実験に使用する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Relaxin 2 carried by magnetically directed liposomes accelerates rat midpalatal suture expansion and subsequent new bone formation2019

    • 著者名/発表者名
      Kamimoto Hiroyuki、Kobayashi Yukiho、Moriyama Keiji
    • 雑誌名

      Bone Reports

      巻: 10 ページ: 100202~100202

    • DOI

      10.1016/j.bonr.2019.100202

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 磁性制御型リポソームにより標的指向化されたリラキシンはラット正中蓋縫合拡大と骨形成を促進する2019

    • 著者名/発表者名
      紙本裕幸、小林起穂、森山啓司.
    • 学会等名
      第84回口腔病学会学術大会

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公開日: 2021-01-27  

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