研究課題
昨年度から継続中の、口腔試料からピロリ菌の検出を試みた。新潟大学医歯学総合病院に来院し、本研究の趣旨を説明し同意を得た男女88名(平均52歳)を対象とし、口腔ピロリ菌を検索した(No.: 2017-0150)。Nested PCRを行うとともに、本Nested PCR法の検出限界を、段階希釈したH. pylori 懸濁液のPCR産物より解析した。得られた結果を、Pathogen誌上に公表した(2020年12月)。続いて、IRB承認(No.: 2019-0220)後、新潟大学医歯学総合病院消化器内科を受診し、胃がんの内視鏡手術を行った59-86歳の男女21名(平均72.8歳)を対象とし、内視鏡手術により切除した胃の一部組織と口腔試料(唾液、デンタルバイオフィルム、舌苔)を採取して、同一のNested PCRを実施し、塩基配列の相同性を比較検討した。その結果、全被験者は、便中抗原検査陽性で、胃はピロリ菌の感染中であった。胃ピロリ菌DNAの陽性率は胃組織100%(21/21)、胃培養細菌100%(21/21)で全被験者の胃組織からピロリ菌DNAが検出された。除菌成功者12名中9名:75%は、口腔ピロリ菌DNAの陽性者であった。参考株と胃ピロリ菌DNAは7万以上の変異部があることが解明された。変異部を特異的に増幅するプライマーの設計して相同性を検索し感染機序を解析中である。他方で、スナネズミおよびマウスにピロリ菌を経口接種し、8週間後の胃内から単離したピロリ菌をショットガン解析し、口腔内持続感染を制御する遺伝子変異部位は、small RNA (sRNA) HPnc4160で最大の発現変動することを発見した。【結論】本研究で用いたNested PCR法は、口腔ピロリ菌を高感度に検出可能であった。口腔がピロリ菌の再感染のリザーバーとして機能することが示唆された。
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Pathogens
巻: 10 ページ: ー~ー
10.3390/pathogens10010010