研究課題
2022年度は、株式会社しずい細胞研究所設立ならびに、細胞トレーサビリティ用ブロックチェーンShizuiNetの構築をおこなった。しずい細胞研究所は2022年4月に登記が完了し、8月に最初の決算を無事終了した。それにともない、ShizuiNetが稼働するSymbolならびにdHealthブロックチェーンノード運用をしずい細胞研究所へと移行した。また、地域創生プロジェクトアクションプランに学内採択され、クリーンルーム内で細胞凍結チューブのバーコードを読み取って、そのままシングルアクションでブロックチェーンに記録するデバイスCellPiの試作機を2台作製した。ゲノム編集に関しては、HLA-A02ローカス特異的Zinc Finger Nuclease (ZFN)を使って、HLA-A02, A33ヘテロの歯髄細胞DP144のゲノム編集をおこなった。その結果、ZFNを導入した歯髄細胞の全ゲノム配列でこれまでの予想を超える数百bp単位の欠失変異が見つかった。塩基配列解析用に設計したPCRプライマー結合部分を超えて欠失が起きている可能性が示唆された。一方、オフターゲット変異予測ツールが示したHLA-Bや対立遺伝子であるHLA-A33ローカスには、そのような欠失変異は見られなかった。しかし、オフターゲット変異予測ツールからは漏れた偽遺伝子であるHLA-Hに低い頻度ではあるが同様の変異が存在する可能性が示唆された。今回HLA領域においてはこれまでと異なる数百bp単位の欠失変異が起きていること。CRISPR/Cas9とgRNAに比べて認識配列が長く、オフターゲット変異が起きにくいとされているZFNであるが、多型性が高いために事前予測が難しい偽遺伝子であるHLA-H領域に変異が起きている可能性が示された。全研究期間を通じてHLA領域に対するゲノム編集の困難さが浮き彫りになった形である。
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J.Periodontal Research
巻: 57 ページ: 162-172
10.1111/jre.12949
http://shizuilab.com
http://tezukalab.private.coocan.jp/