研究課題/領域番号 |
19K22709
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
加藤 隆史 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (50367520)
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研究分担者 |
豊田 博紀 大阪大学, 歯学研究科, 准教授 (00432451)
片桐 綾乃 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (40731899)
毛利 育子 大阪大学, 連合小児発達学研究科, 准教授 (70399351)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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キーワード | 口腔機能 / 発達 / 睡眠 |
研究実績の概要 |
本年度は、行動観察を中心に研究を遂行した。まず、幼若ラットの行動や摂食行動の発達の過程を日齢ごとに観察する実験を行った。母ラットとともに飼育する環境で、常時ビデオを記録し、開眼、飲水行動や飼料へのアクセス、食餌行動の開始を観察し、動物が単独で飲水・食餌行動を示すのが16日から17日以降と分かった。また、複数の試験飼料をもちいて咀嚼機能の評価方法その実施可能時期と合わせて検討したところ、試験飼料を摂食する日齢が21日齢以降であったが、個体差が大きく、すべての動物が試験飼料を完食できる日齢が28日齢以降となったため、試験飼料の提供条件を再検討する必要が生じた。また、摂食時の舌機能や口唇機能の評価するために、測定機器の自作を試みたが摂食中の口唇・舌の微妙な変化や差を安定的に測定する精度を得られなかったため、提示する試験飼料や水の構成を新たに検討する必要が考えられた。飲水時のリック機能は、リック数をカウントする方法を検討したが。これらの実験条件設定では、実験環境やテスト内容に対する仔ラットの学習の要素を検討する必要があることから、プロトコールを組み直した。実験的に発達過程を障害する方法を複数検討し、間歇的低酸素負荷を与える条件設定のため複数の時期や負荷時間による影響を調べた。また、麻酔を施した仔ラットにおいて、口腔内に電気刺激を与えて開閉口筋に誘発した顎反射活動を測定し、日齢に伴う変化を調べたところ、日齢に伴い反射活動が高くなる可能性を認めた。さらに離乳した仔マウスに慢性間欠性低酸素暴露し、日齢35で免疫組織染色をおこなったところ、大脳皮質および海馬においてグリア細胞や一部のニューロンでリポカリン型プロスタグランジンD合成酵素の発現が増加する可能性を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
行動実験における、口腔機能記録方法と実験プロトコールの設定にやや時間を要し、電気生理学的実験の実施がやや遅れたことと、発達過程に影響を与える環境要因の条件設定を十分に確立できなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、昨年度の実績を踏まえて修正した行動実験のプロトコールを実施する。また、発達に伴う口腔運動機能の電気生理学的な記録を行って、経日的な変化を観察する。さらに発達状態を変化させる環境条件負荷を与える実験を実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験計画の進行状況に記載したように、R1年度は口腔機能評価をするための行動テストの実験を中心にプロトコールの検討をおこなった。そのため、電気生理学的な手法を用いた実験に移行できず、必要な材料や機器の購入に至らなかった。次年度は、幼若ラットにおける電気生理学的実験に着手する予定である。
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