研究課題
我々の血圧は常に一定に保たれるよう調節されているが、こうした恒常性の維持は血管に発現するPiezo1と呼ばれる機械刺激受容体が担っている。Piezo1は腸でも発現していることが知られているが、腸のPiezo1がどのような生理機能をはたしているのかは不明であった。今回、遺伝子改変マウスを駆使した研究によってこの謎に挑んだところ、糞便中に含まれる腸内細菌由来のリボ核酸 (RNA) が腸のPiezo1を活性化することでセロトニンの産生を誘導していることが明らかとなった。これまでの研究でセロトニンは骨形成を抑制するホルモンであることが報告されていたが、Piezo1をマウスの腸で特異的に欠損させると血中のセロトニン濃度が顕著に低下した。また、当該マウスでは腸でのセロトニンの産生障害を反映して骨形成が亢進し、骨量が増加していた。さらに、RNA分解酵素を老齢マウスに注腸することで腸内のRNAを除去したところ、血中セロトニン濃度の低下をともなった骨量の上昇が観察された。これらの結果は、糞便中のRNAがPiezo1を介して腸と骨の恒常性を維持していることを示唆すると同時に、腸内RNA量の制御によって骨粗鬆症を予防できることを意味している (Cell, 2020)。
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FEBS J
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