研究課題/領域番号 |
19K22722
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
竹下 徹 九州大学, 歯学研究院, 准教授 (50546471)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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キーワード | rrnaオペロン / 常在微生物叢 / 口腔 |
研究実績の概要 |
本年度は16S rRNA遺伝子全長とともにInternal transcribed spacer (ITS) 領域を含めて網羅的に回収できるプライマー配列を検討した。ウェブ上に公開されているrrnaオペロン領域の塩基配列を用いて過去の論文に掲載されており候補となるプライマー配列の網羅性について検証を行ったのち、選択されたプライマーを用いて本研究室が所有する35の口腔細菌株(23菌種)の同領域がPCR法で増幅可能であることを確認した。さらにITS領域は16S rRNA遺伝子に比べ配列多様性が大きいこと、同一菌種の異なる菌株でもITS領域の配列に差異が認められることを確認した。一方でNeisseria flavescensとN. subflavaのようにITS領域の塩基配列においても差異が少ない菌種も認められた。被験者ごとに異なるタグ配列を付与した選択されたプライマーを用いて77名の被験者から採取した唾液から16S rRNA遺伝子全長およびITS領域を網羅的に増幅した。ロングリードシーケンサーPacBio Sequelを用いて得られた増幅断片群の塩基配列を解読した。塩基配列から高精度なCircular consensus sequence (CCS) を取得しDADA2を用いたエラー補正解析により16S rRNA遺伝子全長よりもITS領域を加えた配列のほうが10倍以上の配列多様性が見られることが確認された。本集団から検出されたStreptococcus mutansは10のITSタイプに分類され保管されている菌種の配列と一致した。またこれまで蓄積してきた口腔検体について取得した塩基配列データを分析し次年度の解析を行う検体の選択を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
16S rRNA遺伝子全長にITS領域を含めたPCR増幅についてin silico解析および既知の菌種を用いた実験の両面から網羅性を確認できた。さらにITS領域を加えることにより菌株レベルの解析に迫ることができる可能性および一部の菌種についての識別能の限界についても把握することができた。加えて実際の口腔検体の分析についても取り掛かることができた。こうした結果から達成度としては「概ね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は本年度に構築することができた解析系とより大きなデータアプトプットが期待できるロングリードシーケンサーSequel IIを用いて500検体程度の口腔微生物叢の同時解析を遂行し、健康と関連するITSタイプを特定するとともに細菌ITS配列データベース構築を進める。加えて23S rRNA遺伝子領域を含めた全オペロン領域の利用可能性も検証していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
プライマー配列の選択や既知の菌種を用いた実験をはじめとする解析系の検証に想定以上の時間をかけたためロングリードシーケンサーでの解析の大規模運用には至らず次年度使用額が生じた。一方で解析系については本年度確立することができたことから次年度は順次解析を進めることが可能である。
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