研究課題/領域番号 |
19K22729
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研究機関 | 松本歯科大学 |
研究代表者 |
小出 雅則 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 准教授 (10367617)
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研究分担者 |
小林 泰浩 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 教授 (20264252)
山下 照仁 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 准教授 (90302893)
村上 康平 岡山理科大学, 獣医学部, 助教 (60791837)
尾崎 友輝 松本歯科大学, 歯学部, 助教 (10802902)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | 骨 / 骨代謝共役 / 破骨細胞 / 骨芽細胞 / 骨細胞 / 骨代謝―脱共役 |
研究実績の概要 |
骨リモデリングにおいて、破骨細胞、骨芽細胞および骨細胞の細胞間コミュニケーションが機能すると骨代謝共役が起こり、骨量が維持される。一方、この細胞間コミュニケーションの破綻は、骨量減少を引き起こす。しかし、加齢や炎症において、どのように細胞間のコミュニケーションが破綻し、骨代謝―脱共役が起こるかは不明である。本研究では、骨代謝共役を破綻させる機構を統合的に解明し、骨代謝共役を回復しうる因子を同定する。その同定因子やRANKLリバースシグナルを利用した、骨粗鬆症と歯周疾患に対する新たな治療戦略を開発する。 A.老化細胞を除去した老化マウスの骨組織で発現する骨代謝ー脱共役因子とそのシグナルを探索するため、加齢マウスのサンプルを回収して、骨組織の遺伝子発現解析を行っている。今後、パスウェイ解析、Gene set enrichment analysis (GSE解析) を行い、老化細胞の除去ならびにJAK阻害剤の投与によって骨組織で遺伝子発現が回復するシグナル経路を同定する予定である。 B. 絹糸結紮歯周炎モデルを加齢マウスに用いて、老化細胞を除去あるいは除去しない場合の歯周組織のRNAシークエンス解析を実施している。加齢マウスの歯周組織で特異的に変動する候補遺伝子群を絞り込み、老化細胞の除去により回復する遺伝子を同定する予定である。これらの解析により、骨代謝―脱共役因子を同定して、加齢あるいは炎症に伴う骨量減少の原因を見出し、新たな骨粗鬆症および歯周疾患に対する治療法を創出する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験計画通り加齢マウスの骨組織を回収して、骨組織の遺伝子発現解析を行っている。歯周炎モデルの歯周組織も回収して、遺伝子発現解析を行っている。骨代謝ー脱共役因子の絞り込みや同定を行っていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
実験計画通り加齢マウスを用いて、骨組織における遺伝子発現をRNAシークエンス法で解析した。加齢マウスにおける歯周炎モデルも解析している。これらの解析により、骨代謝ー脱共役因子とそのシグナルを同定する。 (1) 加齢に伴う骨代謝-脱共役因子の探索として、低分子化合物AP20187を投与した老化細胞を除去したマウス(INK-ATTAC)を用いて、老化細胞を除去した際の骨代謝および骨組織における遺伝子発現をRNAシークエンス法で解析中である。骨代謝の評価は、mCT、骨形態計測、および血清骨代謝マーカーの測定で行う。 (2) 炎症性骨疾患モデルにおける骨代謝―脱共役因子の探索として、絹糸結紮歯周炎モデルの加齢マウスにINK-ATTAC遺伝子を導入した。この老化細胞除去した歯周炎マウスで、歯肉組織のRNAシークエンス解析中である。これらの遺伝子発現は、パスウェイ解析およびGSE解析を行い骨代謝―脱共役因子をリストアップする。上記計画で本研究を遂行する。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験動物の加齢を待つために時間が必要であり、サンプル回収時期が次年度となった。そのサンプル解析に必要な経費が次年度分となった。次年度に解析用の試薬を購入する予定である。
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