本研究課題は、尿または糞便といった排泄物に含まれる代謝物に着目し、生物学的放射線被ばく線量評価(バイオドシメトリ)の因子となり得る成分を探索し、その作用機序の詳細までを明らかにすることを目的としている。課題遂行の最終年度は、放射線照射モデルマウスから様々な被ばく線量下で採取された排泄物をメタボローム解析を実施して統計解析を進めた。その結果、糞便よりも尿の方が代謝物の個体差が小さく、またデータ取得にばらつきが小さいことが明らかとなった。 また、尿に着目した多変量解析では被ばく後24時間において、スフィンゴミエリン関連物質に興味深い変動が確認されたほか、それらは酸化ストレスに関わることが文献検索によって明らかとなった。
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