研究実績の概要 |
CASBEEチェックリストによる主観的住環境とK6高値の関連について分析を行った。本研究は、東北メディカル・メガバンク計画地域住民コホート調査に参加し、郵送追跡調査(2016年~2018年)に回答し、解析に必要な変数に欠損のない26,683人(男性:9,245人、女性:17,438人、平均年齢:61.3±11.6歳)を対象とした横断研究である。住環境の主観的評価にはCASBEE健康チェックリストを使用し、44項目につき0~3点を付して総スコアを算出した(範囲:0~132点)。心理的苦痛ありの定義はK6≧5点とした。総スコア及びチェックリストの分類による部屋別のスコア(居間・リビング、寝室、キッチン、浴室・脱衣所・洗面、トイレ、玄関、廊下・階段・収納、家のまわり)を四分位(Q1:住環境の主観的評価が最も悪い群、Q2、Q3、Q4)とし、Q4を基準とした他群の心理的苦痛ありのオッズ比[95%信頼区間]を多変量ロジスティック回帰分析にて算出した。調整項目は、性・年齢・職業・学歴・震災時の家屋損壊の程度・同居者の有無・回答時の季節とした。また、性別、年齢階級別(<40歳、40-<65歳、≧65歳)に検討を行った。 【結果】対象者の総スコアの平均は96.6点であり、5,983人(22.4%)が心理的苦痛を有していた。総スコアが低い群ほど心理的苦痛を有する者の割合が高く、(Q1:43.1%、Q2:24.2%、Q3:14.6%、Q4:7.0%)、Q4に対する他群の心理的苦痛ありのオッズ比が有意に高かった(Q1:9.27[8.32‐10.32]、Q2:3.89[3.48‐4.35]、Q3:2.14[1.90‐2.41])。部屋別の解析では、すべての部屋でQ4に対する他群の心理的苦痛ありのオッズ比が有意に高かった。総スコア、部屋別のスコア共に性別、年齢階級別の検討でも同様の関連が見られた。
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