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2020 年度 実施状況報告書

エンテロウイルスD68の世界規模での流行に関与する要因の解析

研究課題

研究課題/領域番号 19K22733
研究機関東北大学

研究代表者

押谷 仁  東北大学, 医学系研究科, 教授 (80419994)

研究期間 (年度) 2019-06-28 – 2022-03-31
キーワードエンテロウイルスD68 / エンテロウイルス / EV-D68 / インフルエンザ / RSウイルス
研究実績の概要

フィリピンで検出されたEV-D68のVP1領域のシーケンス解析による系統樹上では、Clade Bは2008年から2011年までに検出された株と、2012年から2018年に検出された株では明らかに異なるクラスターを形成していたが、いずれのクラスターもアジア諸国で同時期に検出されていたClade Bに類似していた。Clade Bはこれまで比較的大きな流行を数年おきに繰り返しているが、近年、Clade Aから派生したClade Dが報告されこれまでの検出株を遡って解析した結果、フィリピンにおいて最初のClade Dは2008年に検出され、その後散発的な検出が確認された。ウイルスの抗原性に関与するとされるVP1遺伝子のBC-loopとDE-loopのアミノ酸をClade BとClade Dで比較したところBC-loopに5カ所、DE-loopに3カ所のアミノ酸置換があり、Clade DではDE-loopに1アミノ酸の欠失を認めた。両Cladeのウイルス遺伝子の多様性を年単位の経過とともに比較したところ、Clade Bでは多様性の変動幅が大きく、Clade Dでは常に多様性が大きい状態が継続していた。感染時の重症度についてClade BとClade Dで比較した結果、Clade Bで下気道感染の割合が高かった(OR 3.63:95%CI 1.00-13.26)。これらの結果から、両Clade間での抗原決定部位のアミノ酸の変化やウイルス遺伝子の多様性の変化の違いがウイルスの流行パターンや重症度の違いに関与していることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2019年はEV-D68の検出がなかったことに加え、2020年はCOVID-19の影響でフィリピンにおける検体採取ができず、EV-D68のスクリーニングが中断している。そのため、これまでに検出されたEV-D68の分離株からウイルスRNAを抽出し、全ゲノム解析をおこない、現在データ解析中である。

今後の研究の推進方策

今後フィリピンにおける検体採取が再開できればCOVID-19流行下におけるEV-D68流行動態について解析を進める予定である。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス流行によりフィリピン側の共同研究機関での新たな検体収集が困難な状況となり、解析が思うようにできなかった。また試薬なども手に入りにくく使用期限もあるため消耗品等も含め購入を控える必要があった。新型コロナウイルスの感染がワクチンによって徐々に抑えられ、フィリピンにおける検体採取が再開できればコロナウイルス流行におけるEV-D68流行動態について解析を進める予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 国際共同研究 (1件)

  • [国際共同研究] Research Institute of Tropical Medicine(フィリピン)

    • 国名
      フィリピン
    • 外国機関名
      Research Institute of Tropical Medicine

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公開日: 2021-12-27  

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