エンテロウイルスD68(EV-D68)は、2014年から2015年にかけて世界的流行を引き起こしたことで注目された。しかし、その理由は解明されていなかった。フィリピンにおいて継続的に検出されてきたEV-D68のウイルス遺伝子の解析、抗原性の変化についての検討、陽性例の重症度の解析を行った結果、2015年にフィリピンであった流行は、遺伝子型がClade DからClade Bに移行することで起きたことがわかった。また2つのCladeの間には抗原性の違いを認めたが、重症度の違いは認めなかった。これらのことから2015年の流行は流行株の抗原性が変化したことによって起きた可能性が高いことが示された。
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