研究実績の概要 |
分娩予測のアルゴリズムを作成するにあたって、経会陰超音波を使っての分娩進行を評価することができるのかを明らかにするためにシステマティックレビューの方法に則り検討を行った。方法:2020 年4 月30 日までに発表された英文文献を対象に検索語吟味し、 「transperineal ultrasound 」等の各データベース (CINAHL,PubMed)に応じた検索語を用いて,電子データベース検索を行った.包含,除外基準に基づくスクリーニングを実施し,選択論文を決定した.結果:22件の論文を文献検討の対象とした. AoP,HPD共に分娩第2期に評価している論文が多かった. 文献検討の結果,論文によって経腟分娩や分娩所要時間を予測するパラメータのカットオフ値は様々であり,具体的なカットオフ値を明らかにすることはできなかった.しかし経腟分娩となる産婦,分娩が遷延しない産婦は,そうでない産婦と比較して超音波パラメータであるAoPが大きく,HPDが短いこと,時間経過に伴うAoP,HPDの増加量が大きいことが明らかとなった.分娩予測のための経会陰超音波のカットオフ値を明らかにするには,更なる研究が必要である.助産師の分娩進行の予測において,特に分娩第1期での経会陰超音波の活用が期待されるが,分娩第1 期に測定を行った論文が少なく,活用には限界がある.しかし,分娩第1期にパラメータを継続的に測定し,パラメータの変化量を評価することにより,分娩進行を予測できる可能性がある.分娩第2 期の測定では分娩進行が遅い産婦,遷 延している産婦に対して使用し,その後の分娩進行における正常からの逸脱を早期に判 断し,適切な援助に繋げられる可能性がある.また経会陰超音波は正確性,再現性に優れ ており,内診と併用することで,より正確な分娩進行の評価が可能になると考えられる.
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