研究課題/領域番号 |
19K22738
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
清水 栄司 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (00292699)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | 身体症状症 / 認知行動療法 |
研究実績の概要 |
倫理審査承認後、うつ不安、身体症状での通院患者にWEBでinformed consentを得て毎月1回以上、通信端末からアプリに医学的に説明できない身体症状(MUPS)、身体症状症の尺度PHQ-15の調査を行った。横断的にPHQ-15に1回だけ回答した者は878人(平均45.0歳、男性372人,女性472人)で平均点は11.4点(標準偏差6.4)であった。カットオフ値5点以上で身体症状症を有する(+)患者群は735人(83.7%)で、5点未満で有しない(-)患者群143人(16.3%)であった。身体症状症を有する(+)患者群は、有しない(-)患者群に比べ、有意にPHQ-9のうつ症状、GAD-7の不安症状、EQ-5DのQOL障害が重症であったが、医療費に関しては有意差がなかった。15点以上の重症の身体症状症の疑いに該当する者は286人(32.6%)であった。3回連続回答した縦断的データがある214人(年齢44.2歳、男性81人,女性108人)の1回目のPHQ-15の平均点は10.5点で、2回目は10.0点、3回目は9.9点でおよそ2か月のスコアがほぼ不変であった。PHQ-15のカットオフ値5点未満で身体症状症を有しない(-)患者群は1回目44人(20.6%)、2回目54人(25.2%)、3回目53人(24.8%)であった。身体症状症を有する(+)患者群は、有しない(-)患者群に比べ、有意にうつ、不安、QOL障害が重症であったが、医療費に関しては差がなかったのは同様であった。なお、5回連続回答した95人の5回目のPHQ-15の平均点は9.7点であった。その他、本年度は、身体症状で悩む対象者向けのwebセルフヘルプ認知行動療法コンテンツの開発を行った。身体症状症向けwebコンテンツを用いたセルフヘルプ介入の研究プロトコルを千葉大学医学部附属病院倫理審査委員会に申請中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
身体症状症で悩む対象者向けのwebセルフヘルプ認知行動療法コンテンツの開発に時間を要し、研究プロトコルの倫理審査申請が遅れたため。
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今後の研究の推進方策 |
倫理審査委員会の承認が下り次第、被験者のリクルートを開始する。身体症状で悩む対象者に対し、心理教育群を対照に、WEB上でセルフヘルプ認知行動療法を上乗せする介入群の有効性をパイロット・ランダム化比較試験により、検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
医学的に説明できない身体症状(MUPS)に対し、対照群に比べて、Web上でセルフヘルプ認知行動療法を行う介入群の有効性を検証するためのパイロット・ランダム化比較試験の倫理審査に時間がかかっているため、今年度の検証のために助成金を使用する予定である。
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