研究課題/領域番号 |
19K22738
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
清水 栄司 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (00292699)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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キーワード | 身体症状症 / 認知行動療法 / 緊張型頭痛 |
研究実績の概要 |
今年度は、医学的に説明できない、幅広く多様な身体症状を標的にすることは困難であったため、患者数が多く、労働生産性に大きな影響を及ぼす慢性緊張型頭痛に対する介入研究を実施した。緊張型頭痛とは、一次性頭痛のなかで最も多い頭痛の1つであり、世界人口での有病率は38%とされ、発症は10歳代が多いが、羅患率は30歳代が最も高い。緊張型頭痛は、雇用の生産性の低下、医療費、および生活の質の大幅な低下を通じて、重大な社会経済的コストと関連しているにも関わらず、患者の6割は未治療な状態にあるとされる。本研究では、緊張型頭痛を有するが、薬物療法を受けていない成人勤労者に対する侵襲を伴わないセルフ・メディケーションとしてのメール・サポートなしのセルフヘルプ型介入の有効性検証を目的とし、倫理審査委員会承認後、6週間、Web上で頭痛に対する正しい知識を与え、症状に左右されない質の良い活動を行うことができるようにするセルフヘルプ心理教育群とガイド無しのセルフヘルプ認知行動療法群の2群のランダム化比較試験を行った。対象者は、緊張型頭痛の診断を満たし、3か月以上続く頭痛に悩む20歳から50歳までの勤労者とした。介入前、介入終了後、後観察6週間後に主要評価として簡易疼痛評価尺度(BPI)、副次評価としてうつ、不安、頭痛強度、頭痛頻度、医療経済評価などを実施する。ネット調査会社を通じて、5634名のWEB上の参加同意後、頭痛障害質問紙(HIT-6)を2週間の間隔で行い、50点以上の頭痛障害度を有する方をエントリーし、256名をWEB認知行動療法群、258名をWEB心理教育群に割り付け、年度末に介入試験を終えたところであり、次年度、データ固定および統計解析の予定である。また、セラピストが身体症状症に対して、ビデオ会議システムでのオンライン認知行動療法を提供する研究デザインを検討し、他の研究として進めることとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の影響により、倫理審査、介入研究の開始およびリクルートなどの行程に想定以上の時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
今後はデータの解析を行い、慢性緊張型頭痛に対するセルフヘルプ型介入の有効性及び医療経済的効果を明らかにし、医学的に説明できない身体症状(精神医学的診断としての身体症状症)に対する段階的ケア体制についての提案を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響で、遅れが出た分については、相補的なWEB調査などを行う予定である。
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