研究課題/領域番号 |
19K22746
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
緒方 泰子 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 教授 (60361416)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | クリエイティビティ / 高齢者ケア / 職場環境 / 労働力 / 尺度開発 |
研究実績の概要 |
2020年度は、研究自粛期間終了後に、全国の特別養護老人ホーム(特養)8,097施設から2,000施設を層化無作為抽出し、認知症ケア経験1年以上の介護職または看護職(各施設1名)に対し無記名自記式質問紙調査を行った(2020年9月~10月)。質問紙に回答後、回答者ごとに返信用封筒に封入し研究者宛に直接郵送してもらった。 調査内容は、回答者属性、職場満足度、ケアの質、翻訳したThe Person-centered Care Assessment Tool (P-CAT)などに関する質問、ケアに関する創意工夫(利用者本人が穏やかに過ごすためにどのような創意工夫を行っているか等)に関する自由記載であった。2,000か所に2,000人分の質問紙を配布し、340人(回収率17.0%)から回答があった。うち324人の回答(有効回答率16.2%)を分析対象とした。調査は、研究代表者の所属組織における倫理審査委員会での承認後に行った。分析には、SPSS ver.26、Amos ver.26を用いた。 回答者は、男性51.9%、平均年齢44.6歳、認知症ケア経験年数は平均14.1年、職種は介護福祉士58.0%、看護師21.6%等であった。P-CATの得点は平均43.6で、尺度全体のα係数は0.81であった。構成概念妥当性を確認するため確認的因子分析(CFA)を行ったところ、項目間で誤差変数間の調整を行ったモデルの適合度は、CFI=0.89、RMSEA=0.07であった。 P-CATの得点との偏相関係数は、職場満足度(r=0.47)、ケアの質(r=0.54)であり、Person-centered Care実施状況(r=0.67)であった。 研究成果をまとめ、学術集会での発表準備や英文誌への投稿準備を行った。 COVID-19パンデミック下での高齢者ケアにおける創意工夫等について、海外研究者と遠隔会議を複数回行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度は、COVID-19パンデミックの影響を受けて、所属機関から研究の自粛要請があり一定期間研究に取り組むことができなかったこと、対象施設の調査協力数が少なかったこと等による。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度は、高齢者ケア組織で働く実践者の「クリエイティビティ(発見する力や発見を価値の創造につなげる力のようなもの、CR)」を表す行動(CR行動)について質問群を作成して調査を実施する予定であったが、COVID-19感染拡大の影響により、予定していた国内外からの情報収集を実現できず、研究計画どおりに研究を実施できなかった。2021年度は、COVID-19感染拡大の影響を注視しながら、状況終息後の期間で本研究の本質的目的が達成されるよう、実施が許される範囲で国内外での情報収集を行い、インタビューや質問紙調査も含めてCRを確認・評価できる方法について検討を重ねる。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19パンデミックにより、2020年度は国内外の動向を質問紙調査に反映させるため、英国の高齢者施設への情報収集を計画していたが、航空会社や現地宿泊先によって自動的にそれぞれの予約がキャンセルされた。更に、研究自粛要請等を受けて一定期間研究が行えなかったことから、次年度使用額が生じた。 2021年度は、COVID-19感染拡大の状況を注視しながら、実施が許される範囲で国内外での情報収集を行い、インタビューや質問紙調査、その成果発信の費用(論文執筆・掲載費)等を使用計画に含める。
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