研究実績の概要 |
本研究では、高齢者ケアを支える看護職等のケア実践者が、高齢者のケア実践において発揮している創意・工夫をクリエイティビティ(CR)とし、CRの評価尺度を開発することを目的としている。本研究におけるCRは、「発見する力や発見を価値の創造につなげる力のようなもの」である。 2023年度は、高齢者ケア実践者のCRを見いだすため、全国から無作為抽出した訪問看護ステーション2,000か所に調査協力を依頼し、参加意思を表明した訪問看護ステーション153か所で働く、看護職者・理学療法士・作業療法士等の医療職スタッフ1,363人を対象に無記名自記式質問紙調査を行った(2023年7~10月)。510人の医療職スタッフより回答があった。調査内容は、回答者属性、職場満足度、ケアの質、CRに関する質問(①)、CRのうち「認知症者がケアを拒否した際の工夫(自由記載)」(②)等であった。調査は、研究代表者の所属組織における倫理審査委員会での承認後に行った。 結果:①CRに関する質問への回答を量的に分析した結果、設定した質問は、「創造性の発揮(仮)」「内発的モチベーション(仮)」の2因子で構成された。②自由記載への回答者292人の記述を質的に分析し、認知症者がケアを拒否した際の工夫(CR)として、「本人の気持ちをリセットする」「ケアの進め方や内容を変える」などの7つのカテゴリーが抽出された。 成果公表:2023年度は、①CRや②自由記載の分析結果について、学術集会や国際誌へ公表していく準備を行った。 期間全体の研究実績:グループホーム、特別養護老人ホーム、訪問看護ステーションの高齢者ケア実践者に対し、CRに関する調査を行った。最終年度にはCRの評価尺度として2因子の質問群を作成できた。これらを活用してCRを発揮している、ケア実践者や組織の特性を明らかにしていくことにより、実践者を磁石のようにひきつける魅力的な職場環境の創成(マグネティズムの創出)が実現することが期待される。
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