研究課題/領域番号 |
19K22749
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
中村 勝 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30306237)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | 離家意識 |
研究実績の概要 |
1年目の研究項目は、精神障害者や家族が同居から離家にいたる過程と関連要因の分析である。当初の予定を下回ったが、6家族に半構造化面接を行い、質的統合法による分析を行った。その結果、明らかになってきたのは家族内のかかわりだけでは離家にいたるのは難しく、専門家や他家族とつながりが持てるようになると離家意識が高まり離家が促進されやすい。さらに精神障害者自身の精神状態の安定化も離家が促される直接的な要因になることが考えられた。分析過程でみえてきたことでは、通院中の医療機関や通所施設の職員からの働きかけによって他家族とのつながりが生まれている事例が多いことであり、当事者だけの努力ではなかなか離家にはいたらず、相当の期間を要する懸念がある。そうしたことから離家への影響要因として、地域包括ケアシステムの整備・強化が重要になることが理解できる。今回の分析では離家を妨げる要因についても同時に把握された。例えば、精神障害者の身辺自立が不十分な状態であること、精神障害者の世話をする家族の責任感が不適切に大き過ぎること、互いの意思確認が確かめられない関係性にあること、家族の通所サービスに対する不満感などである。これらの事実を全体的に捉えると同居から離家にいたる過程においては精神障害者と家族に親身に話を聴き助言してくれる他者の存在はきわめて重要である。他者を介して社会との接点を強化すること、それ自体が離家の促進と考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
協力機関との調整により秋季以降の調査と分析を計画していたが新型コロナ感染症の影響により計画がとん挫した。2年目の研究項目に取りかかる前に、さらにデータを蓄積する準備を重ねたい。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナ感染症の影響もあるが、国や大学の方針を遵守し協力機関とも密に連携を取りながら、当初の研究計画を意識し進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初に予定していた調査対象者数を下回ったことや新型コロナ感染症の影響から専門家からも情報提供を受けることができなかったことなどが一因している。次年度に向け、可能な限り計画的なデータ収集と部分的な成果発表をしていく。
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